「ネッドくん最強!!」
小さな子から大きな子まで、みんなが喜ぶことまちがいなしの絵本です。
読み聞かせ目安 全学年 3分
あらすじ
あるひネッドくんに、パーティーの招待状が届きます。
でも、それは遠い遠いフロリダでやるんだって!
でも・・・。友達が飛行機を貸してくれました!
でも・・・。飛行機は途中で爆発!!
でも・・・ネッドくんは助かります。
でも、でも、でも、でも・・・。
その後も、さまざまな幸運と不運が、繰り返し次々とネッドくんを襲います。
でもでも最後は・・・、結局パーティー会場へたどり着き・・・、
ネッドくんの誕生パーティーが、盛大に行われたのでした。
読んでみて・・・
小さな子から大きな子まで、みんなが喜ぶことまちがいなしのテッパン絵本です。
お話はいたってシンプル!
主人公ネッドくんに、さまざまな幸不幸が訪れます。
パーティーに招待されたかと思ったら、遠い遠いフロリダだったり、でも友達が飛行機を貸してくれたり、でもその飛行機が爆発したり、でも飛行機にはパラシュートが付いていて助かったり・・・、でもパラシュートには穴が空いていたり、でも下には柔らかい干し草の山があったり・・・。
「よかった!」と「でも、たいへん!」が、交互に繰り返し、何度も何度もネッドくんに訪れます。
1見開きごとに、何度も何度も「よかった!」と「でも、たいへん!」が繰り返すので、子どもたちは、当然ページをめくるたびに、次は「よかった!」がくること、「でも、たいへん!」がくることの予想が容易につくのですが、ワクワクしながらお話が進むのを待ちます。
「よかった!」の状況や、不運を回避するネッドくんの能力が、ちょっと意表をつくのが面白く、興味・関心を離さないのです。
空から落っこちたネッドくんは、海に落ち、サメに追いかけられますが、ネッドくんは泳ぎがうまくてサメより速かったり!トラに追い詰められても、トラより足が速かったり!洞穴に飛び込んでも、トンネルが掘れたり!!
次々に、不運を回避する意表をついた超人ぶりを見せてくれます。
そのたびに子どもたちは、
「ネッドくん、すげー!」
「ネッドくん、最強!!」
と大喜び!
そんな最強の超人ネッドくんですが、ネッドくんの心理描写いっさいありません。
淡々と、とんでもない困難を乗り越えていくのも面白いところ。
超人ネッドくんは淡々としていて、何のセリフもないけれど、表情は豊かです。「よかった!」では、ほっと安心した顔。「でも、たいへん!」では、大きな口をあんぐり開け、手を挙げてびっくりぎょうてん。
でも、それらの顔も、どこかひょうひょうとしていたり、ちょっと不敵だったり。何か幸不幸を超越した感があって、妙な独特の存在感があります。
絵は、「よかった!」の場面は、鮮やかなカラーページ。「でも、たいへん!」の場面はモノクロで、一目で状況がわかり、メリハリがあって、テンポよくお話を進めるのに効果を発揮しています。
カラーページの色遣いは、ややどぎついくらいの鮮やかさ。都会的で現代的でありながら、野性的でもある絵は、どこかフランスの画家アンリ・ルソー(1844~1910)なんかをも思わせる独特のタッチです。
この絵本は短いので、他の絵本と組み合わせやすく、私は高学年の子どもたちにもよく読んでいます。お話自体は単純な絵本なので、6年生にも読んでいるというと、よく驚かれれるのですが、ここまで単純で、テンポのよい意表をついた面白さは、手放しで子どもたちを楽しませ、自己解放させてくれるようで、大きな子どもたちでもとても喜んでくれます。
6年生ともなると、受験やお友達関係などで、ストレスも多くなるころ。ときには真面目な本ばかりでなく、こんなちょっとぶっ飛んだ面白さのある絵本で、自己解放するのもいいものだと思います。
この絵本は、八木田宣子による翻訳ですが、原作者レミー・シャーリップの希望もあって、原文の英語と訳文の日本語両方が、併記されている仕立てになっているので、高学年の子どもには、英語で読んであげるのもいいかもしれません。
小さな子どもから大きな子どもまで、ときには大人まで喜んでくれる、底抜けに楽しい絵本です。
今回ご紹介した絵本は『よかったねネッドくん』
レミー・シャーリップ作・絵 八木田宣子訳
初版1969.8 改訂・2か国語版1997.11 偕成社 でした。
よかったねネッドくん改訂版 |
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