絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『木はいいなあ』

すがすがしく心地よい絵本

まるで森林浴をしているかのような気持ちになれる絵本です。

            

読み聞かせ目安 中学年 4分

あらすじ

たくさんの木。

木があるのはいいな。

丘にも、川べりにも、谷底にも生える木。

春夏秋冬さまざまな姿を見せ、いろんな楽しみをくれる木。

みんないつも木の周りで遊んだり、休んだり。

木は家も守ってくれる。

自分の木を植えるといいよ。

毎年少しずつ大きくなっていくよ。

                      

読んでみて・・・

題名どおり「木はいいなあ」という思いが、いろいろな視点から描かれています。

大きな感情の起伏や、物語の展開はまったくありません。けれども、胸の底からこみあげてきた「木はいいなあ」という思いが、散文詩のように綴られ、それがじんわりと読む者にも伝わってきます。

 

空を隠すほど生い茂った森の木々、谷や川、丘に生える木、たった一本の木。

木があったら出来ること、落ち葉を集めて遊ぶこと、焚火すること、木登り、

りんご捥ぎ、枝にブランコ付けて遊ぶこと、木陰で昼寝、お弁当・・・。

 

いろいろな木があって、いろいろな木の「いいなあ」を感じさせてくれる絵本です。

 

ただ木がある他愛のない日常を、淡々と描いているようですが、木や自然からいただく恩恵や楽しみが生活の中にあることは、当たり前のようだけれど、もはや現代の都市に暮らす者にとっては、意識しなければ得られないこととなってしまっています。

この絵本は1957年にコルデコット賞を受賞していますが、この本の巻末の「作者と作品について」で石竹光江氏は

  

「都市化がすすむにつれ、子どもと自然との生活が失われていくのを嘆き、ユードリイ自身が幼い日に経験した木とのすばらしい生活を、子どもたちにも味わってほしいという願いがにじみ出ています。アメリカで初版が出されて20年を経た今日、この作品のもつ価値は、いっそう高くなっているといえましょう。」

 

と語っています。それからさらに年月は過ぎ、現在では、もはや初版が出版されてから60年以上が経過しています。この絵本の持つ価値、味わいはさらにいっそう高くなっているといえるでしょう。

 

またこの絵本は、木の魅力を、明るく爽やかな水彩のカラーページとモノクロページで交互に描き出しています。明るいカラーページでは、読む者の心も明るく軽やかになり、モノクロページでは浮き上がった心をちょっと落ち着け、その繰り返しで読む者の気持ちを浄化してくれているように思います。読む森林浴といった感じです。 

 

穏やかでいながら、心を明るく浄化してくれるすがすがしい爽やかな絵本です。大人向きかな?子どもにはつまらないかな?とも思えますが、読み聞かせをすると、じっと静かに聞いている子どもたちの表情は穏やかで、退屈そうにしている様子などなく、聞き入っている、見入っているというように感じます。

 

この絵本は最後のところで、語り手の子どもが、「木を うえると いいよ。」と言って、木の植え方をとても自慢げに嬉しそうに教えてくれます。この本を読んだ子どもたちも、この子のように自分の木を植えるようになったらいいなあと思います。

 

静かで穏やかでゆったりとした、まるで森林浴をしているかのような、すがすがしい気持ちになれる素敵な絵本です。

                      

今回ご紹介した絵本は『木はいいなあ』

ユードリイ作 シーモント絵 西園寺祥子訳

1976.1 偕成社 でした。

木はいいなあ

J・M・ユードリイ/マーク・シーモント 偕成社 1982年12月
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