絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『おおきなのはら』

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数え歌の絵本

自然の営みの調和が美しく描かれた絵本です。

            

読み聞かせ目安  低学年  5分

あらすじ

おおきなのはらに、かめの親子。

お母さんが、

 

「あなを ほってごらん」

 

というと1匹のこがめが、

 

「あなを ほるから みててね」

砂地は、ほかほかでいい気持ち。

 

おおきなのはらの草の中には、きつねの親子。

お母さんが、

 

「はしって ごらん」

 

というと2匹のこぎつねが、

 

「はしるから みててね」

 

木の上には、こまどりの親子。

お母さんが、

 

「うたってごらん」

 

というと3羽のひなが、

 

「うたうから みててね」

 

お母さんりすと、4匹のこりす。

みつばちのお母さんがと、5匹の赤ちゃんばち。

ビーバーのお母さんと、6匹のこども。

かえるのお母さんと、7匹のこども。

ふくろうのお母さんと、8羽のひな。

くものお母さんと、9匹のこども。

うさぎのお母さんと、10羽のこうさぎ・・・。

 

読んでみて・・・

数え歌の絵本です。

ページが進むごとに、いろんな動物のお母さんと子ども。

子どもが1匹ずつ増えていく数え歌になっています。

歌の絵本なので、原書では楽譜が付いているのだそうですが、この翻訳本には残念ながら、楽譜はありません。

 

けれども、どのページもとても明るくて、美しい野原の景色が描かれています。

絵をみているだけで、うきうきと気分が高揚する音楽が、聞こえてくるようです。

 

表紙を開くと、目を射るような明るい太陽。

帽子をかぶって、虫取り網を抱えた男の子と女の子が、意気揚々と家を出て、おおきなのはらへ向かっていきます。

 

そう、この絵本は明るい太陽が輝く朝にはじまり、ページを追うごとに朝→昼→夜と、1日が進んでいくようになっているのです。

 

子どもたちが向かった、おおきなのはらの日当たりの良い朝の砂地には、かめの親子。

柔らかな日差しのなかに、明るい草花が優しくそよいでいます。

砂地にもぐるかめの親子も、気持ちよさそうです。

昇ってきたおひさまに照らされる、木の上にはこまどりの親子。

明るい陽盛りののはらには、はちの親子のまわりにちょうも飛び、草花もあでやかに咲き乱れています。

昼下がりの沼地には、かえるの親子やかたつむり。水辺の生き物が生き生きと動き回り、にぎやかな水音が聞こえてくるよう。

そして夕暮れ。ふくろうの親子が目を覚まし・・・。

 

明るく透明感のある色の重なりが、豊かな自然の営みを美しく描いていきます。

ページを追うごとに、いろんな種類の生き物の親子が出てきて、子どもが1、2、3と増えていく、単純な数え歌の絵本ですが、それぞれの生き物がそれぞれの住処で、それぞれの暮らしを営んでいる姿が忠実に描かれ、おおきなのはらの大きな自然がリアルに感じられるようになっています。

 

時系列で進む、最後のページは夕暮れ。

もう、数え歌は終わり。

夜のハンターであるふくろうやきつねが、鋭い目つきでうさぎやりす、こまどりたちを追いかかけています。

数え歌で馴染んできた、うさぎやりすなどの小動物たちが、同じく数え歌で馴染んできたふくろうやきつねに追われている姿には、ドキッとしてしまいますが、それが自然というもの。

嘘偽りのない、自然そのものの姿が描かれ、それが自然の営みであり調和であること、そこに自然の不思議や美しさがあることが、これ見よがしでなく自然に受け入れられるように示されています。

自然の営みを、親しみ深く謙虚にみつめる、愛のある眼差しがあります。

 

歌の内容も、おかあさんが「~をしてごらん」というと、子どもが「~するからみててね」の繰り返し。そして、各ページ各親子の締めくくりに、「~したらいいきもち」で結ばれる、リズムの良さと繰り返しの安心感。自分たちの生態特有の行為をすることによって、「いいきもち」になる満足感と達成感もあり、子どもたちの心の安定と充足が、自然の営みに則して、さりげなく得られるようになっているのもいい所です。

 

ごく簡単な数え歌の絵本ですが、自然の世界の不思議さ、美しさ、調和を謙虚な眼差しでみつめ親しむ。詩情豊かな美しく楽しい絵本だなと思いました。

 

短い絵本なので、他の本やお話との組み合わせにもぴったりです。

明るく華やかな絵なので、うきうきと心躍る春の近づいた日にぜひどうぞ。

 

今回ご紹介した絵本は『おおきなのはら』

ジョン・ラングスタッフ文 フョードル・ロジャンコフスキー絵 さくまゆみこ訳

2000.2.1  光村教育図書  でした。

おおきなのはら

ジョン・ラングスタッフ/フェオードル・ロジャンコフスキー 光村教育図書 2000年02月
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