スモールさんのお仕事シリーズ
消防士のスモールさんが、小さい消防自動車に乗って大活躍!
読み聞かせ目安 低学年 5分
あらすじ
小さい消防自動車と消防士のスモールさんは、いつも消防署に待機しています。
出動のベルが鳴ると、2階から滑り棒で滑り降り、防火服を着て、消防自動車に乗って出動です!
かん かん かん かん!鐘を鳴らし、うーうーうーうーうー!サイレンを鳴らして、猛スピードで火事の現場へ駆けつけます。
サマー通りの角の家が火事でした!
消防自動車からホースを伸ばし、消火栓につないで放水開始です!
火元は台所の煙突周り!
2階には、猫を抱いた女の子が取り残されています!!
スモールさんは、はしごをかけて登り、窓から女の子と猫を救出しました!
家族のみんなは大喜び!!
スモールさんは、斧で屋根に穴を開け、穴から放水!
じゅーじゅーじゅっじゅっ!
「ポンプ とめろ! ほうすい やめえ!」
火事は消えました。
スモールさんと消防士の仲間たちは、小さい消防自動車にのって、ゆっくり消防署へ帰りました。
読んでみて…
子どもが大好きな働く車、消防車のお話です。
表紙には、小さい消防自動車に乗って、火事場へ急ぐスモールさんと犬のティンカー。きりりと引き締まった顔つきで、現場へ向かっています。
白地に赤と黒のみ、やや丸味を帯びていて単純化されたフォルムで描かれた絵は、すっきりとシンプルでありながら、愛らしく暖かみがあり、親しみやすいものになっています。
スモールさんは、丸顔でとっても可愛らしいのですが、消防士としての仕事に取り組む表情は、きりっと引き締まっていて、なかなかのイケメンです。
小さい消防自動車も、旧式で可愛らしいものですが、ピカピカによく手入れされています。
お話のはじめは、この小さい消防自動車についての説明です。
ポンプ車で、エンジンを使って水を吸い込み、吐き出すこと。
吸い込みホースやもっと長いホース、はしごがどこにあるか説明され、絵では、まるで図鑑のように小さい消防自動車の部分品が、矢印付きで細かく説明してあります。
働く車が大好きな子をはじめ、子どもたちは細かいところを観察・確認するのが大好きなので、ここはとても喜ばれるページです。旧式の消防自動車ではありますが、とても丁寧に描かれているので、子どもたちは十分満足します。
丁寧に描かれているぶん、この小さい消防自動車がスモールさんをはじめ、消防署員たちに愛されていることも伝わり、子どもたちにも小さい消防自動車に対する、親しみや信頼感が生まれるようです。
そして、やっぱり楽しいのは、現場で大活躍するスモールさんを見ること!
小柄で可愛らしいスモールさんですが、きりっと引き締まった表情で、てきぱきと隊員を引き連れ仕事をします。
かん かん かん かん!鐘を鳴らし、うーうーうーうーうー!サイレンを鳴らして、道行く人や、車に見送られる場面は、消防自動車のかっこよさ全開です!
これまでに、この小さい消防自動車を、細かいところまで見て親しんできた子どもたちには、とても誇らしく感じられるところでしょう。
現場について、隊員にてきぱきと指示を出し、自らはしごに登って、女の子を救出するスモールさん、屋根に登って火を消すスモールさんも、かっこよさ全開!真剣で凛々しい眼差しが素敵です!
子どもたちは、かっこいいスモールさんと一緒になって、ドキドキしながら消防の仕事の緊張感を味わい、仕事を終えたあとの達成感と安心感も得ることができます。
働く車や人、そして仕事をするということに対する尊敬の気持ちも、この絵本を読むことによって、楽しみながら自然と湧き上がってくるとことと思います。
この絵本は、働く車(消防自動車)に対する興味・好奇心を満たすこと、緊張感あふれる仕事を疑似体験すること、その結果としての達成感と安心感を得ること、それら労働にまつわる大切なことを、暖かく可愛らしい絵で包みながら、十分味わわせてくれる、とても優れた絵本だと思います。
スモールさんのお話は、シリーズ化していて、スモールさんが警察官になったり、パイロットになったり、機関車の運転手になったりと、他にも楽しいお話がいろいろあります。またのちの機会に、ご紹介できたらいいなと思っています。
今回ご紹介した絵本は『ちいさいしょうぼうじどうしゃ』
ロイス・レンスキー文・絵 渡辺茂男訳
1970.11.1 福音館書店 でした。
ちいさいしょうぼうじどうしゃ |
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