絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『3人のちいさな人魚』

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ちいさな人魚のかわいいお話。

自由に海の中を泳ぎ遊んでいるような気分になれる楽しい絵本です。

            

読み聞かせ目安  低学年  7分

あらすじ

深い海の底に、コーラ、フローラ、ベラという、3人のちいさな人魚が住んでいました。

3人は、毎日のんびり楽しく暮らしていましたが、歌のお稽古だけは嫌いでした。

なぜなら・・・3人は歌が、とてもへたくそだったからです。

そのひどさといったら、魚たちも逃げていってしまうほど!

 

ある時、3人が大きな声で歌の練習をしていると・・・、なんと通りかかった大きな船のお客さんたちが、人魚たちのこえを非常ベルが鳴りだしたと勘違い‼

みんな救命ボートで逃げ出して、空っぽになった船は岩にぶつかってガッシャーン!

 

3人の人魚たちが船の様子を見に行くと、事態を知らない女の子がひとり、まだ船室ですやすや眠っています。

人魚たちは女の子を救出し、ちいさな島へ連れていきました。

 

女の子たちは島で、楽しく遊んで暮らします。

でも、しだいに女の子は、家に帰りたくなり、イルカに乗って陸へ向かうことになりました。

ところが途中でサメがやってきて、驚いたイルカが跳びあがり、女の子は海へドボン!

でも3人の人魚は、サケの群れに頼んで、女の子を無事陸地へ送り届けることができました。

 

お友達を別れて、寂しい気持ちで海の底へ戻った人魚たち。

帰ってみると、あらびっくり!

13人の赤ちゃん人魚が、3人の人魚の帰りを待っていたのでした。

                      

読んでみて・・・

かわいらしい3人の人魚たちのお話です。

ラフで素朴で、落書きのような気取りのない絵。

ミントブルーの、明るく爽やかな色遣いで、楽しく屈託のないちいさな人魚たちの暮らしを描いています。

 

人魚といえば、ローレライの伝説にあるように、人を惑わせるほどの美声の持主として知られていますが、このお話の人魚ちゃんたちは、人を惑わせるほどの悪声の持主!

(きっとローレライのパロディになっているんでしょうね。)

3人が歌を歌いだすと、魚は逃げだし、カキやハマグリは大口を開けて笑いだしてしまいます。3人の人魚たちの歌う顔も、顔の半分以上が口に見えるほどの大口を開けていて、とても上品な人魚の歌声が響いてはこないだろうなと、一目見て思わせる面白さ。

とてもユーモアたっぷりの愉快な絵になっています。

 

絵の面白さは他にたくさん。

人魚たちが魚に紐をつけてお散歩していたり、長~いウミヘビで縄跳びをしていたり、カニを洗濯バサミにして洗濯物を干していたり・・・etc。愉快な場面がたくさんあって、子どもたちをとても喜ばせてくれます。

 

救助した女の子との島での暮らしも、自由で楽しいものです。

ヤシの木に登ったり、イルカとボール遊びをしたり・・・。

人魚たちが女の子に泳ぎを教える場面なんて、とっても愉快!女の子の体に糸を付けて、釣り竿で吊って泳がせているんです!女の子の結んだ口と点の目が、なんとも言えないユーモラスな表情。おもわず笑ってしまいます。

3人の人魚たちが、いつも揃って同じポーズをしているのも、ユーモラスでそしてなんだかシャレていて、お話の展開にリズムもあたえていてステキです。

女の子を陸へ送っていくときも、鮭の群れにヒッチハイク

発想の面白さが光っています。

 

自由で伸び伸びとした豊かな発想。遊び心がいっぱいで、本当に楽しい絵本です。

楽しくかわいらしい絵と、ミントグリーンの色合いは、なんだかミントアイスのようで、甘くおいしく楽しい気分にさせてくれる、夏にぴったりな絵本だなと思いました。

心を解放して、自由に伸び伸びと、海のなかで泳ぎ遊ぶような、楽しさと満足感のある絵本です。夏休みの読書にもぜひどうぞ。

                      

今回ご紹介した絵本は『3人のちいさな人魚』

デニス・トレとアンドレ・トレ文・絵 麻生九美訳

1979.9.1  評論社  でした。

3人のちいさな人魚

デニース・トレッツ/アレン・トレッツ 評論社 1979年09月
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