ゆったりと楽しむキャンプの絵本
細部まで楽しめるねこの一家の休日のお話。
読み聞かせ目安 中学年 15分
あらすじ
ねこのオーランドーは、奥さんのグレイスと、パンジー、ブランシュ、ティンクルという3匹の子どもたちと暮らしていました。
オーランドー一家は、ご主人から休暇をもらい、キャンプへ行くことに!
みんな大喜びで、車に乗って出かけました。
川のそばでキノコが生え、農場も近くにあるとてもいい場所をみつけ、テントを張ります。
「朝ごはんに お魚! お昼に キノコ!」
「おやつに たまご!」
子ねこたちは、大喜び‼
雨が上がって虹が出て、夜はきれいな月夜です。
あくる朝も、いいお天気。
おばさん牛からミルクをもらい、川で魚を採りました。
お昼はハイキング!
たっぷり水遊びを楽しんで、サンドウィッチのお弁当!
夜は、キャンプファイヤーを囲んで、ギターやハープ、トランペットの音楽会です。
古い城跡でのピクニック、お祭りにだって行きました。
楽しいキャンプをたたんだ後は、お家に帰り、お仕事です。
一家が留守の間に忍び込んだネズミを、せっせと追い払います。
読んでみて・・・
明るくおおらかな絵本。ゆったりと休日を楽しむ絵本です。
本自体も、縦36.5cm×横26.5cm、開くとなんと横53cmにもなる大きな絵本!
絵本本体からも、ゆったりおおらかな雰囲気が、漂ってきます。
お話はごくシンプルで、ねこのオーランドー一家が、休暇にキャンプに行って帰る、というだけのもの。ハラハラドキドキするような事件は、何一つ起きませんが、その分、とにかくおっとりゆったり。心から休暇を楽しむ。心を解放して、安心して、野山でのキャンプを楽しむ絵本になっています。
絵は、明るいカラーの石板刷り。
ママレード色の毛色も美しい、立派な雄猫のオーランドー。
ねこが、車に乗って家族を連れてキャンプに出る。楽器を演奏したり、フライパンを使ってお料理したりと、擬人化されていますが、かわいらしく甘ったるく、人に寄せて描かれているのではなく、あくまでもねこはねこ。しっかりした野性も感じられる、強い眼差しを持った、紛れもない立派なねことして描かれています。
キャンプで出会う、魚や毛虫、カエル、ネズミなどの動物たちも、みな毛虫は毛虫らしく、魚は魚らしく、生き物としてリアルに描かれています。
オーランドーのご主人、道路工事のおじさん、農家のおばさん、郵便局のおばさん。人間も、たくさん出てくるわけではないのですが、それぞれが、それぞれの生活の息吹が聞こえてくるような、確かな描写で描かれています。
単純なお話ですが、各ページの絵の構成も良く、絵が細部を丁寧に語っていて、どのページも、ずっと見ていて飽きない、発見と楽しさがあります。
キャンプ場周辺の地図も、丁寧に描き込まれていて、子どもたちは、オーランドーたちのたどった道を、一緒にたどりながら、そこここで、いろんな発見をしながら、読み進めていくことができます。
食べ物を見つけては、おいしい夢を膨らませる子ねこたち。
ひげを蚊の疑似餌?のようにして魚を採るオーランドー。
リアルとユーモアが一体となって、見ているものの目を喜ばせます。
心ゆくまで安心して、ゆったりと、細部のディテールを楽しむことができる、楽しい絵本です。
最近は、キャンプもずいぶん人気のようですね。キャンプ好きのお子さんや、もちろん大人たちにも、おすすめの1冊です。
文字通り、大きな絵本でゆったりと、心も大きくのんびりとできる、素敵な絵本です。
ただ、大きいので、読み聞かせをするときは、片手で持つと疲れます。
ゆっくり読んでいると、意外と時間もかかるので、読み聞かせをするときは、机に立てて読んだ方がいいと思います。
また、図書館でお借りになるときは、大きめのバッグをお忘れなく❣
今回ご紹介した絵本は『ねこのオーランドー』
キャスリーン・ヘイル作・画 脇明子訳
1982.7.15 福音館書店 でした。
ねこのオーランドー | ||||
|
ランキングに参加しています。ポチっとしていただけると嬉しいです。
いつもありがとうございます。