精密かつ愉快な科学絵本
丁寧なコラージュの手法で描かれた生き生きとしたホネの絵本です。
読み聞かせ目安 高学年 7分~
あらすじ
骨は生きている。
動物が大きくなるとともに、骨も大きくなり、たとえ強い力がかかって折れたとしても、もとどおりになる。
骨は、動物の体を支え、脳や内臓を守っている。
大きな動物も、小さな動物も、骨なしでは生きられない。
大きな骨、小さな骨。どんな骨でも、体の中で、決まった場所があり、決まった働きがある。手の骨、足の骨、背骨、首の骨、頭蓋骨・・・。
大きな動物、小さな動物。それぞれにそれぞれの骨があって、数や形も、いろいろだったり、全く同じだったり!
人間の大人の骨は、全部で206個。
キミは、組み立てられるかな?
ホネホネ絵本 | ||||
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読んでみて・・・
科学の絵本です。
このブログで、科学絵本をご紹介するのは初めてなのですが、科学絵本とはいっても、この絵本は、ただの図鑑のような絵本ではなく、造形的にもとても美しく、絵本として、美術的にも十分鑑賞しうる、素敵な絵本になっています。
絵は、貼り絵・コラージュの手法で描かれています。
とても緻密で、正確で、丁寧に作られています。
どのページも「骨」の絵ばかりなので、主人公?の色味や質感は、基本的にはどれもほぼ同じ。灰色がかった白い物体だらけなのですが、見せ方がとても上手!
背景の色を、骨の色がきれいに際立つ、濃い紺色やオレンジ、赤茶、深い緑などをページごとに変えて、骨をとても生き生きと(?)描き出しているのです。
紙を切って貼って描いた骨なのに、とても躍動感があって、それぞれの骨が持つ性格(?)まで伝わってくるようです。
見開き3ページ分ほど、紙が折り込まれていて、開くと見開ページが1.5~2倍になるページも、とても面白い見どころです。
肋骨のページでは、折り込みを開くと2倍になった見開き画面いっぱいに、長く大きなニシキヘビの肋骨が、ドーンと大迫力で出てきます。400対もあるという、大きなニシキヘビの肋骨に、圧倒されつつも、丁寧な貼り絵に感心したり、大きくうねる骨の数々に、なんともいえないかわいらしさ(?)やユーモアまで感じてしまいます。
動物の骨格は、それぞれの生態に適した形があり、骨格によって、それぞれの動物にできる動きがあることを説明するページでは、骨だけの人間やカラスが、骨だけのサイに追いかけられている様子が描かれていて、とてもユーモラス!
「動けや動け!」
「さあ、にげろ!」
語りも、科学的で淡々としていながらも、リズミカルで飽きさせません。
子どもたちの知的好奇心を、ぐんぐんそそり駆り立てる、愉快な絵本になっています。
お話の最後は、206個の人間の骨をずらりと並べ、
「組み立てられるかな?」
それから2倍に開いた見開きに、
「おめでとう!」
完成した人間の骨格が、ドーンと現れるのも愉快です。
最後の最後には、「もっと知りたい人のために」として、より科学的に詳しい骨の情報も載っています。
骨がどんな成分からなっているか。
折れたらどうやってくっつくのか。
「尾てい骨」や「あぶみ骨」。
フランスのエッフェル塔の建築に、大腿骨の構造が生かされていること。
「ゆかいな骨」って何のこと?・・・etc。
「骨」に興味を持った子が、より深い知識を得ながら、さらに楽しく知的好奇心を駆り立てていけるような工夫もされていて、とても良質な絵本だなと思いました。
ガイコツ・骨ってちょっと怖いけど・・・、なんだか興味をひかれちゃう。
そんな子どもゴコロをくすぐる、愉快でタメになる、面白い絵本です。
ときには、こんな科学絵本も、いいものだなと思いました。
今回ご紹介した絵本は『ホネホネ絵本』
スティ―ブン・ジェンキンズ作 千葉茂樹訳
2010.9.30 あすなろ書房 でした。
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