絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『はじめてのゆき』

はじめて知る雪の楽しみ 

  『とらたとまるた』のとらたがはじめての雪遊び!

はじめてのゆき

なかがわりえこ/なかがわそうや 株式会社 福音館書店 1996年01月12日頃
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 読み聞かせ目安  低学年  5分

あらすじ

 ある朝のこと。トラの子とらたが熱いミルクを飲んでいると・・・

 

「あれ?」

 

外は、どこもかしこも真っ白!

雪です‼

 

とらたは、運動靴を履いて雪のなかへ。

足が雪に埋まってしまったので、長靴に履き替えました。

雪は、柔らかくふわふわ。座ってみると・・・おしりごと埋まってしまいました!

家へ駆け込み、ストーブでおしりを暖め、セーターを着て、また表へ。

雪を両手いっぱいに乗せると、あまりに冷たくて、またストーブへ逆戻り!

今度は、手袋をして表へ行きました。

 

すると・・・。

屋根の雪が、とらたの上へ落ちてきて、

 

「ひどい ひどい」

 

また、ストーブへ逆戻り。

帽子を被って出かけます。

すると・・・。

 

「とらたちゃーん、ゆきがっせんだよーー」

 

雪の玉が飛んできました。

見ると、ちっちゃな雪だるまです。

雪だるまは、雪の上を転がって、みるみる太って大きくなります。

とらたは、大きくなりすぎて転んだ雪だるまを、助け起こしたり、雪だるまが、とらたのシャベルで雪をすくって食べ、ますます大ききなっていくのを見たり、雪だるまと楽しく過ごします。

 

でも、いつしか空は晴れ渡り、お日様の熱で雪だるまは、みるみる痩せていきました。

 

「さあ うちへ かえろう。」

 

雪だるまは、バケツとシャベルをとらたに返し、垣根の向こうに帰っていきました。

 

「さようなら」

 

雪だるまを見送ったとらたは、家へ帰り、雪だらけのセーターと手袋と、帽子を脱いで、ストーブで乾かしました。

 

1000万人の絵本ためしよみサイト|絵本ナビ

 

読んでみて・・・

 以前ご紹介した『とらたとまるた』のとらたが、はじめて雪遊びをするお話です。

 

masapn.hatenablog.com

はじめての雪。

いつも見慣れた景色が、すべて真っ白な雪に覆われた、はじめて見る銀世界。

ふわふわで冷たい雪の感覚。

 

はじめて雪というものを知った子どもの、驚きと喜びが、絵本いっぱいにあふれています。ひとつひとつ、表に出ては家に帰り、出ては帰りしながら、そのつど雪への新しい発見をし、喜び味わう新鮮な感覚を味わうとらた。

 

降り積もった雪は、すべてを覆い隠し、見えなくしてしまうもの。

雪の上では、運動靴は役に立たないこと。

雪はとっても冷たいこと。濡れてしまうこと。

とらたは、はじめての雪を、ひとつひとつ具体的に体感しながら、実感をもって認識していきます。転んだり、頭から雪を被ったり!その姿はとても愛らしく、またユーモラスです。 

 

はじめ、小さな雪の玉として飛んできた雪だるまが、雪をまとうごとに、どんどん大きくなっていく面白さ。とらたと雪だるまの交流は、もちろん子どもの空想の遊びですが、この絵本では、子どもの実感と空想が、ごくごく自然に融合する形で描かれ、何の違和感もなく、ごく自然にお話が進んで行きます。

雪だるまが、お日様の熱で溶けて消えてしまう場面も、とらたと雪だるまの間に、へんな別れの感傷などもなく、実にあっさりと

 

「さようなら」

 

でおしまい。

はじめての雪への感動と、楽しい思いだけが残る屈託のなさ。

驚き、喜び、楽しんで、変に執着はしない。

子どもが、日々経験する新しいものとの出会いって、こういうことなのかなと感じます。

 

テクストも、無駄がなくすっきり。

お話が、前へ前へポンポンと、まるで雪の玉が弾むように進んでいきます。

 

絵も、『とらたとまるた』に引き続き、白地に青、赤、黄、黒だけの、無駄のないすっきりしたもの。

細く伸びやかな線が、軽やかで躍動的な子どもの心と体の動きを、よく表しているようです。全体的に、余白がたっぷり取られているのも、雪景色を感じさせるのにぴったり!

表紙見返しは、薄いグレーの地に淡雪がいっぱいで、「あ!雪だ‼」と、まるで雪が降りはじめる空を見上げているようです。

そして、雪だるまが溶けてしまう場面は、目の覚めるような、真っ青な空を思わせるブルーが、実に鮮やか‼ お日様に照らされた、雪景色のまぶしさを、はっとするほど感じさせます。お日様の熱で、あんなに大きかった雪だるまが、小さく小さくなってしまいますが、眩いばかりのこの空色は、センチメンタルな気持ちなどになることなく、雪への好奇心あふれる思いのまま、お話を進めるのに、一役買っているようです。

 

明るくて伸びやか。はじめての雪を楽しむ子どもの、弾んだ気分が生き生きと、気負ったところなどみじんもなく実に軽々と、リズム感あふれる絵とテクストで、見事に描かれた絵本だなと思いました。

 

年末年始、寒波がやってくるそうです。どこかでとらたのように、弾むような新鮮な思いで、はじめての雪を楽しむ子が、いるかもしれませんね。

 

今回ご紹介した絵本は『はしめてのゆき』

中川李枝子作 中川宗弥絵

1970.2.1  福音館書店  でした。

 

はじめてのゆき

なかがわりえこ/なかがわそうや 株式会社 福音館書店 1996年01月12日頃
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