まっすぐな心。幸せな結婚。
幸せな家庭が築かれていくさまが伸び伸びと描かれた絵本です。
読み聞かせ目安 低学年 5分
あらすじ
5月のある朝、5匹のダックスフントの子犬が産まれました。そのうちの一匹が、プレッツェルです。
子犬たちはすくすく育ちましたが、その中でもプレッツェルは、胴が長くながーく伸びて、世界一胴長のダックスフントになりました。
ダックスフントは胴が長ければ長いほど立派。プレッツェルはドッグショーで優勝します。
みんながプレッツェルに感心してみとれますが、小さなダックスフントの女の子グレタだけは知らん顔。それでもプレッツェルはグレタが大好きで、結婚を申し込みます。
プレッツェルはいろいろなプレゼントを持ってきたり、芸当を見せたりして、グレタの気を引こうとしますが、グレタはいつも知らん顔。
「どうながなんて きらいなの」と、プレッツェルを袖にします。
そんなある日、グレタが工事現場の大きな深い穴に落っこちてしまいます。
グレタが不安で怖くて泣いていると・・・プレッツェルが、長いながーい胴体で、グレタを助け出してあげるのでした。
グレタは、「あなたは、わたしの いのちを すくってくれた すてきなかた!」とプレッツェルに感謝し、プレッツェルの思いは通じ、ついに2匹は結婚するのでした。
読んでみて…
『ひとまねこざる』(おさるのジョージシリーズ)でおなじみのM&H.A.レイの絵本です。
ジョージシリーズと同じく、明るくて快活な色遣い、躍動感あふれる絵が可愛くて美しい絵本になっています。
胴長のプレッツェルの姿は、胴の長さが見開き1ページ使ってのびのびと描かれ、子どもたちの目にも、楽しく面白く映ります。
胴の長さを生かして、プレッツェルがお菓子のプレッツェルの形になったり、深いふかーい穴まで胴が届いたりするところを、子どもたちは喜んで見ています。
でも、それよりも何よりもこの本の良いところは、プレッツェルの心がまっすぐなところ。プレッツェルは、何度も何度もグレタに「どうながなんて だいきらい」と振られてしまいますが、へこたれません。全く卑屈になることなく、まっすぐグレタへのアプローチを続けるのです。
そして最後に、とうとうこのまっすぐな思いが通じてグレタと結婚し、プレッツェルの兄弟と同じように5匹の子犬を儲け、幸せな家庭を築くのですが、幸せな家庭を築く過程が、何の屈託もなく、幸福感にあふれた雰囲気に包まれて進行していくようすが、子どもたちに好きな人と結ばれること、家庭を築いていくことへの幸福な期待感を持たせてあげられるようで、素敵だなと思います。
「どうながなんて だいきらい」と、いつもプレッツェルを袖にするグレタも、一見高慢な女の子に見えますが、物や外見よりも本質、自分をいつも見守ってくれていて、大事に駆けつけてくれる男の子をお婿さんに選ぶのですから、しっかり者でいいお母さんになりそうです。この絵本を読む子どもたちににも、結婚相手を見抜く目を教えてくれているみたいです。
教訓的ではなく、あくまでも楽しく、明るく、幸せな雰囲気の中で1組のカップルが生まれること、家庭が築かれていくことを見せてくれる幸福感あふれる絵本です。
読み聞かせが終わったら、ぜひ表紙と裏表紙を一気に開いて見せてあげてください。
プレッツェルの長いながーい胴体が、のびのびと幸せそうに伸びています。
今回ご紹介した絵本は『どうながのプレッツェル』
マーグレット・レイ文 H.A.レイ絵 渡辺茂男訳
1978.10.20 福音館書店 でした。
どうながのプレッツェル | ||||
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