絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』

ファンタジーを存分に楽しめる絵本

清潔で健やかで心落ち着くかわいらしい絵本です。

            

読み聞かせ目安  中学年  10分

あらすじ

2つのかごを手に、プッテは森へいきました。

ブルーベリーとこけももを摘んで、お母さんの誕生日プレゼントにするのです。

でも、ブルーベリーもこけもももみつかりません。

 

プッテが切り株に座って泣いていると、足元に何かが触れました。

小人のおじいさんです!

おじいさんは、ブルーベリー森の王様で、プッテをブルーベリー森へ、連れていってくれることになりました。

 

ブルーベリー森には、熟したブルーベリーがいっぱい実っています。

プッテは、王様の子どもたちといっしょに、かごいっぱいブルーベリーを摘みました。

その後は、ブルーベリーの子どもたちと楽しく遊び、こけもも母さんの所へ。

こけももの女の子たちと、こけもももかごいっぱい摘みました。

 

ブルーベリーの男の子、こけももの女の子たちと、楽しく遊んだプッテは、こけももをお腹いっぱい食べて、ブルーベリーの王様の家へ帰ると、7つ数えるか数えないうちに・・・もといた森の切り株の上に!

プッテは夢だったのかとも思いましたが、2つのかごはブルーベリーとこけももがいっぱい!

 

お母さんはとても喜んでくれました。

                      

読んでみて・・・

清らかで健やかで、心和む絵本です。

 

ブルーベリーとこけももを、お母さんの誕生日プレゼントにしようと、森へ入っていった、小さな男の子のプッテ。

でも、何も見つけられなくて途方に暮れて泣いていると、嬉しいことがおこります。

ブルーベリーの王様が現れて、プッテをブルーベリー森へ連れていってくれるのです!

 

どうしていいかわからないことに行き当たる。まだ経験の少ない子どもの日常には、よくあることだと思います。そんなとき、救いの手が差し出されるのは、とても嬉しくホッとするもの。そのホッとする感覚が、自然とファンタジーの入り口になっている。子ども心を、無理なく自然にファンタジーにいざなう、ステキなお話の導入です。

 

王様の杖で、小人の大きさにしてもらったプッテは、ブルーベリー森へ。

ブルーベリー色の服を着て、口やら手足やら、あちこちにブルーベリーの汁を付けたブルーベリーの子どもたちが、礼儀正しくプッテを迎えてくれます。

ブル―ベリーだらけで汚れてるのに、妙に礼儀正しい子どもたちの姿が、微笑ましくとてもかわいらしい場面です。

 

すぐにブルーベリーの子どもたちと仲良くなったプッテは、みんなとブルーベリーを摘んで、次はこけもも母さんのもとへ。

ここでも、バラ色の頬をしたこけももの女の子たちが、きちんと並んで座り、こけももをピカピカに磨きながら、礼儀正しくプッテを迎えてくれます。

こざっぱりとしていて、清々しくかわいらしいこけももの女の子たち。

きちんとしていること、礼儀正しくすることの心地よさが、押しつけがましくなく子どもに伝わってきます。

 

こけももも子どもたちみんなで摘んで、お腹いっぱい食べて、身も心も満足して帰る。

帰る時もファンタジーらしい気が利いていて、7つ数えるか数えないうちに、いつの間にかもといた森の切り株の上に座っていて、でもかごにはいっぱいブルーベリーとこけももがあって・・・。ファンタジーを楽しんだ子どもごころを、最後まで十分に満たしてくれます。

 

健やかで清潔で、何とも微笑ましくかわいらしい世界!

 

透明感のある水彩の明るい色彩の絵も、健やかさ、清らかさ、かわいらしさでいっぱいです。

1ページ1ページが、枠で括られた絵のようになっていて、その絵を各場面にあったモチーフが飾っています。森の草花だったり、ブルーベリーやこけもももだったり、イモムシだったり、トンボだったり、カエルやトカゲだったりetc・・・。お話の絵の中で、遊ぶ子どもたちを、それぞれのモチーフが見守っているかのようです。

枠から見守っていながら、そのモチーフももちろん、お話の場面の一部なので、お話の内側と外側、ファンタジーと現実の世界を、無理なく繋ぐ役割をも果たしているようにみえます。

ブルーベリー森のワクワク感が、自然と見ている子どもたちに伝わる感じ、お話の世界に引き込まれていく感じが、よく表されている心憎い演出です。

 

表紙の絵もおもしろく、3本のブルーベリーの木の間に、大きな2匹のクモが巣をはって、両サイドに2匹のハチ。木の根元には、4匹のカタツムリが並んではっています。たわわに実った青いブルーベリーの実。縁を補色の黄色で飾って、シンメトリーで均整のとれた美しく楽しい表紙になっています。これからはじまる「ぼうけん」が、どんな冒険かなと、見ているだけで楽しくなってくる表紙です。

 

安心感、いかにも平和な感じ、邪気がない善良さ、素朴さ、子どもにとって、とても居心地のよい条件が全て整っている絵本ですが、子どもに媚びたようなところは微塵もありません。このうえなくかわいらしいのに、甘ったるくはない。絶妙なセンスにも感心してしまいます。

 

子どもが心からファンタジーを素直に楽しめる、素朴で、清らかで、健やかで、美しい、安心感に満ちた世界が広がる、素敵に楽しい絵本だなと思いました。

 

 

今回ご紹介した絵本は『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』

エルサ・べスコフ作・絵 小野寺百合子訳

1977.5.25  福音館書店  でした。

ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん

エルサ・ベスコフ/おのでらゆりこ 株式会社 福音館書店 1977年05月27日頃
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