ロシアの昔話
ヨーロッパ各地に類話のある素朴な昔話です。
読み聞かせ目安 低学年 5分
読み聞かせ目安 低学年 5分
あらすじ
ともに同じ話型のロシアの昔話です。
おじいさんがおばあさんにパンを焼いてもらいます。
パンが焼けるとおばあさんは、窓のところでパンを冷やしますが、そのすきにパンはじっとしていられなくなって、ころころころがって外へ出ていきます。
道々パンはうさぎ、おおかみ、くまに出会い食べられそうになりますが、パンはその度に、
「ぼくは、てんかのおだんごぱん。ぼくはこなばこごしごしかいて、あつめてとって、それにクリームたっぷりまぜて、バターでやいて、それから、まどでひやされた。けれどもぼくは、おじいさんからもおばあさんからも、にげだしたのさ。おまえなんかにつかまるかい」 (『おだんごぱん』)
と歌って逃れます。
けれども最後にきつねに出会うと・・・
読んでみて・・・
ロシアの素朴な昔話を絵本に仕立てたものです。
どちらの本も、シンプルな七五調のテンポ良い語り口調でお話が進み、読みやすく聞きやすい良いテクストになっています。私は毎年、このお話を入学したての1年生に読み聞かせしています。まっすぐに進んでいくお話の中に、テンポの良い歌が繰り返し歌われ、子どもたちにわくわく感と安心感を与えながら軽快にお話が運ばれていくので、まだ本に馴染みのない子どもでも飽きずに楽しく聞くことができます。
絵も『おだんごぱん』の方は、ほのぼのとした淡い色彩で、おじいさんもおばあさんも、おだんごぱんも動物たちも、おだんごぱんをだまして食べてしまうきつねさえも、のほほんとしたユーモラスな雰囲気を漂わせています。
一方『パンはころころ』の方は、野性的な力強いタッチで描かれ、野の香りがしてきそうな絵になっていて、より民話的な雰囲気が濃く出ています。パンの表情も豊かでユーモラスです。
どちらもユーモラスな雰囲気という点では共通で、この昔話の持つ味わいを良く表現しています。どちらを選ぶかは、読み手、子どもたちの様子に合わせてお好みでといったところでしょうか。私は1年生のまだほんわかした可愛らしい雰囲気にあわせて『おだんごぱん』の方をよく読んでいますが、どちらも甲乙つけがたい素敵な絵本です。
今回ご紹介した絵本は
『おだんごぱん』瀬田貞二訳 脇田和絵 1966.5.1 福音館書店
『パンはころころ』マーシャ・ブラウン作 やぎたよしこ訳 1976.12.5 冨山房
でした。
おだんごぱん | ||||
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パンはころころ | ||||
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また、この昔話には、ロシアのほかにも北欧やイギリスに類話があり、『太陽の東 月の西』(アスビョルンセン編 佐藤俊彦訳 岩波少年文庫 1958.3.10)や、『イギリスとアイルランドの昔話』(石井桃子訳 福音館書店 1981.11.25)その他などにも収められており、これらを朗読するものおすすめです。朗読の場合は中学年からがいいと思います。
太陽の東 月の西 | ||||
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イギリスとアイルランドの昔話 | ||||
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