絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『まりーちゃんとひつじ』

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春のような暖かさ

穏やかに優しく大切なものを味わって

            

読み聞かせ目安  低学年  7分

あらすじ

まりーちゃんが、ひつじのぱたぽんに語りかけます。

 

「ぱたぽん、おまえは いつか こどもを 一ぴき うむでしょう。そしたら わたしたち、その 毛を うって、すきなものが なんでも かえるわね、ぱたぽん。」

 

まりーちゃんは、ぱたぽんの子どもが、一匹二匹三匹・・・次々と生まれたら、その毛を売って、靴、帽子、お人形、おもちゃ、風船、ロバ、おうち、じゅうたんなど色々な物が買えて、お祭りに行ってメリーゴーランドに乗れて・・・と次々と夢を膨らませていきます。

 

ぱたぽんは、

 

「ええ、こどもが 一ぴき できるでしょう。そしたら わたしたち、みどりの はらっぱに すむでしょう。はらっぱには、ひなぎくの はなが きれい きれい、おひさまが いちんち きらきら。わたしたち、ふわふわの 毛を たくさん つくってあげますよ、まりーちゃん。」

 

と最初は答えますが、まりーちゃんの望みが一匹二匹・・・、欲しいものがあれこれと増えていくのに対して、ぱたぽんはその都度、そんなものはいらない、きれいなひなぎくが咲き、おひさまがきらきら光る緑のはらっぱがあれば十分だと答えていきます。

 

結局、ぱたぽんはたった一匹しか子どもを産まなかったので、まりーちゃんは何も買えず、まりーちゃんの靴下を編む毛糸しかとれませんでした。でも、たった一匹の子ひつじをとても可愛がるぱたぽんを見て、まりーちゃんはとっても嬉しそうにしているのでした。

                      

読んでみて…

とてものどかで、牧歌的で、可愛らしい絵本です。絵も素朴で明るく、どこか懐かしくレトロな感じのする絵になっています。

 

テクストも、ひつじが一匹二匹と増えていくのにつれ1.2.3.と番号をふって進んでいき、数え歌のようにリズミカルに進んでいきます。

 

ぱたぽんの言葉の繰り返しも、テクストにリズムを与え、心地よく響きます。

 

内容は一見すると、欲望のまりーちゃんVSストイックなミニマリストぱたぽんの問答(笑)になっていますが、内実はそんなものではありません。

 

まりーちゃんは、欲しい物の夢を繰り広げますが、ぱたぽんが結局一匹しか子どもを産まなくても、がっかりなどせず、喜びます。たった一匹の子をとても大切にするぱたぽんを見て、物など何も買えなくても、この上ない幸せを感じるのです。

 

ぱたぽんも、多くの物がなくても、心地よいはらっぱ(住処)と愛しい子ども(まりーちゃんもね!)があれば十分だと、教え続けてくれているのです。

 

春のような穏やかな暖かさ、心地よさを、大切なものは何かを感じながら、子どもたちとのんびりゆったり楽しく味わいたい、とてもかわいらしい絵本です。

 

 今回ご紹介した絵本は『まりーちゃんとひつじ』

フランソワーズ文・絵 与田準一訳

1956.12.1 岩波書店  でした。

まりーちゃんとひつじ

フランソワーズ/与田 凖一 岩波書店 1956年12月01日頃
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