素朴なクリスマスの夢
クリスマスを心待ちにする子どもの喜びがあふれる絵本です。
読み聞かせ目安 低学年 8分
あらすじ
明日はクリスマス。1年中でいちばん待ち遠しい日です。
デービーは、夜になるのが待ちきれず、雪のなかを散歩することにしました。
リスや小鳥たちにあげる、ナッツや種をポケットに入れて、表へ出ます。
そして、小川のそばの切り株の上に、動物たちへの贈り物を広げ、帰ろうとすると・・・。
雪の上の足跡を発見!
「うさぎの あしあとかな?」
デービーが、足跡を追って森の中に入って行くと、罠にかかったキツネに出会いました。
「この わなを はずして おくれ」
キツネに頼まれ、デービーが罠を外してやると、キツネが森のパーティーに、連れて行ってくれました。
パーティーには、鹿にリス、クマ、フクロウ、モグラなどなど、森の動物たちがみんな集まっていました。そこでみんなが、耳を澄まして待っていると・・・。
やってきました、サンタクロース‼
プレゼントを、山のように積んだソリに乗っています‼
サンタさんは、動物たちみんなにプレゼントを配ります。
するとサンタさん、デービーがいることに気づきました。
サンタさんは、デービーが子うさぎを欲しがっているの知ると、森のおじいさんうさぎに、頼んでくれました。
「デービーぼうやの ところへ いきたい こが おるかな?」
「あたしが いくわ」
茶色の子うさぎが、デービーの腕に飛び込んできました。
「こんにちは」
「きみと ぼく、これから ずっと ともだちだね」
「ずっと ずっとね」
そのあと、デービーと動物たちは、ご飯を食べたり遊んだりして、楽しく過ごしました。
辺りが暗くなって、帰る時間になると、鹿がデービーを背中に乗せて、一足飛びにお家まで連れていってくれました。
ところがその後、デービーが、目を覚ますと・・・、あれ?そこはベッドの中!
デービーは、今日が何の日だか思い出し、走って階段を降りていくと・・・。
「メリー・クリスマス!メリー・クリスマス!」
クリスマスツリーの下に、たくさんのプレゼント!
そして、そのプレゼントの中には、あの茶色い子うさぎが、いるではありませんか‼
「おはよう、こうさぎちゃん」
読んでみて・・・
子どもの素朴なクリスマスの喜びを、まっすぐ生き生きと描いた絵本です。
もうひとつ寝るとクリスマス。1年中でいちばん待ち遠しい、クリスマスの前日。
小さな男の子のデービーは、森へ出かけます。
森の動物たちに贈り物をすると・・・、森のクリスマスパーティーに入れてもらい、楽しく遊び、サンタクロースにも会って、子うさぎをもらって・・・。
この絵本には、森のクリスマスパーティーを楽しむデービーの様子が、とてもみずみずしく、生き生きと描かれています。
森で、最初に会ったキツネと話すデービーは、人間と話ができるキツネに出会えたことに心から驚き、大きな目をぱちくり!そして、特別なクリスマスの不思議な出会いを、難なく素直に受け入れて、動物たちのパーティーへ。鹿にリス、小鳥にクマ、フクロウう、モグラ、ネズミetc・・・。森のあらゆる動物みんなと、すぐにごく自然に仲良くなって、いろんな遊びに興じます。
青いつなぎの服を着た小さなデービーは、見るもの聞くもの出会うもの、何にでも子どもらしい興味を示し、何でも素直に受け入れて楽しみます。
森の動物たちも、表情がとても柔らかで楽しそう。大きなものも小さなものも、一緒になって、体中で喜びを表しながら、特別な1日を楽しんでいます。
サンタさんが、プレゼントを山と積んだソリに乗って、登場したときには、みんな小躍りして大喜び!
サンタさんの周りには、ぱっと明るく光が差し、見開きいっぱいに広がった緑の森や、雪の大地が、より一層美しく輝き、クリスマスの喜びを伝えています。
水色、黄色、赤、茶、緑、白。抑えた色数で、すっきりと描きあげられた絵は、まっすぐで素朴な子どもの喜びを表すのにぴったりです。
辺りが暗くなりそろそろ帰る時間、というページでは、景色が一変。
真っ暗な中に、白い線だけで、サンタさんや動物たち、鹿の背によじ登るデービーが描かれ、そして次のページ・・・。
見開きいっぱいの真っ黒な背景に、深い緑の森景色が流れ、その前には大きな赤茶の鹿が、飛ぶように走り、その上に水色の服を着たデービーが、鹿の黄色に輝く角にしがみついて、飛んでいるような姿で描かれています。
鹿の角がまるで不思議な魔法の角のように、明るく輝いているのが印象的!
息を呑むような美しいページです。
クリスマスを前にした子どもの喜びが、生き生きと噴き上げるようにあふれている、楽しい絵本。素朴だけれど、素直で生き生きとした美しい夢の世界。こんな絵本を読みながら、クリスマスを楽しみに待つのっていいなあと思いました。
サンタさんが来る日を、指折り数えているお子さんに、ぜひどうぞ!
今回ご紹介した絵本は『クリスマスのうさぎさん』
ウィルとニコラス作・絵 渡辺茂男訳
1985.9.30 福音館書店 でした。
(追記)
『クリスマスのうさぎさん』は、残念ながら現在品切れで、中古で購入するか、図書館で借りるしかないようです。図書館でも、書庫に眠っていたりして・・・。私もいつもこの本は、最寄りの図書館の書庫から出してもらって借りています。いい本なのに、残念なことです。
クリスマスのうさぎさん | ||||
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