幸福感に包まれて
優しく子どもを包み込んでくれるような暖かい絵本です。
読み聞かせ目安 低学年 5分
あらすじ
「わたし」がはらっぱへ遊びにいきます。ばったを見つけ「ばったさん、あそびましょ。」と誘いますが、ばったは飛んで行ってしまいます。
次にかえるが来たので、また「かえるさん、あそびましょ。」と誘いますが、かえるも逃げてしまいます。
「わたし」はその後、かめにも、りすにも、かけすにも、うさぎにも、へびにも逃げられてしまい、一人静かに池のほとりに座ります。
すると・・・、ばったが戻り、続いてかえるも、かめも、りすも、かけすも、うさぎも、へびも、みんな「わたし」の元に戻ってきたのです!しかの赤ちゃんまでやってきて、「わたし」のほっぺたをなめてくれます。
みんなが「わたし」と遊んでくれるようになり、「わたし」はとびきり嬉しくなるのでした。
読んでみて…
暖かくほんわかとした、優しい気持ちになれる絵本です。
最初は誰も「わたし」と遊んでくれないけれど、じっと待っていると、しだいにみんなが「わたし」のもとに遊びにきてくれる。子どもにとって、これほど嬉しいことはないでしょう。
一緒に遊ぶこと、お友達になること、仲良しになること。最初はどうしたらいいかわからないけれど、いつの間にか仲良く遊ぶことができるようになっている。
子どもによくある当たり前のような状況ですが、この当たり前のよくあることが子どもにとっては最も大切な喜びで、生きる希望になることです。
新しい場所で、新しいお友達をつくる時期、小学校に入学したての1年生に、よくこの本を読んであげたいと思っています。
初めての学校、始めてのお友達に囲まれ、身の置きどころがわからない時期に、子どもが最も求める幸せな安心感を与えてくれる絵本だと思います。
お話の進み方もシンプルで、一匹一匹やってきては逃げ、やってきては逃げ、一匹一匹戻って来る。淡々とした繰り返しが心地よく、安心感を与えます。その安心感に包まれたまま、みんなに囲まれ幸せいっぱいになっていく。
色調も淡い黄色をベースに、鉛筆描きのラフな柔らかな線で描かれ、本全体で柔らかな春の暖かさを感じさせるものになっています。どのページにも、おひさまが優しい顔で輝き、わたしを見守っています。
本全体で優しく子どもを包み込み、安心感、幸福感を与えてくれる。そんなこの上なく暖かい春のような素敵な絵本です。
今回ご紹介した絵本は『わたしとあそんで』
マリー・ホール・エッソ文・絵 与田準一訳
1968.8 福音館書店 でした。
わたしとあそんで | ||||
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