絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『カングル・ワングルのぼうし』

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不思議な不思議なぼうしのお話。

うきうきした気分になれる絵本です。

            

読み聞かせ目安  低・中学年  3分

あらすじ

ホットケーキにそっくりな葉をつけた、クランぺティの木の上に、カングル・ワングルが座ってた。

 

カングル・ワングルのぼうしは毛皮のぼうし。

大きくて、リボンやレースや鈴がいっぱいついていて、カングル・ワングルの顔は見えやしない。

 

カングル・ワングルはひとりぼっち。

ひとりぼっちはつまらない。

 

そこへカナリヤたちがやってきて、すてきなぼうしに巣を作らせてといってきた。

 

コウノトリやらあひるやら、フクロウ、ハチ、カタツムリまでやってきた。

 

それからも、次から次へとやってくる。

コルクみたいな足をしたフラフラドリ。

金ぴかライチョウ、きらきらおはなのドング、トルコからきたこうしまで!

いっぱいいっぱい、カングル・ワングルのぼうしで暮らそうとやってきた。

 

みんなで楽しく踊って暮らす。

カングル・ワングルもいっしょにね。

                      

読んでみて・・・

19世紀の詩人で画家のエドワード・リアの詩に、絵本作家ジョン・バーニンガム夫人の、ヘレン・オクセンバリーが絵をつけた絵本です。

 

クランぺティの木。

ホットケーキに似たお菓子の葉をつけた、不思議な木に住むカングル・ワングル。

カングル・ワングルも不思議です。

あまりに大きなぼうしを被っているため、顔は全く見えません。

大きな大きなぼうしの下から、人間のような体が覗いています。

 

不思議な不思議なカングル・ワングル。

そんなカングル・ワングルが、誰もいなくてつまらないと思っていると、いろんな動物たちが次から次へとやってきます。

 

やってくる者たちも、みんな不思議な不思議な動物たちです。

はじめのうちは、カナリヤやコウノトリ、フクロウ、ハチなど、ごく一般的な鳥や虫たちがやってきますが、だんだん見たこともないような不思議な動物たちが出てきます。

コルクぬきみたいな足をしたフラフラドリ。

足ゆびのないポブル。

きらきらおはなのドング。

フルートをふく青ひひ。

などなどetc。

 

とっても不思議な動物たちですが、どれもみな楽しそう!

うきうきした雰囲気で、カングル・ワングルのもとへやってくるのです。

 

明るく柔らかい色彩の絵も、うきうきした気分を盛り立てます。

細部までとても丁寧に描き込まれた絵は、見ているだけで心が明るくなっていきます。

奇妙な動物たちの表情も、どこかちょっとおとぼけていて、愛嬌たっぷり。

非現実的な生きものたちですが、丁寧に描き込むことで、まるで存在するかのように自然に?見えてくるから不思議です。

 

そして、このユーモラスな動物たちが目指してやってくる、カングル・ワングルのぼうしも、奇妙でいてとてもきれい!

本体は毛皮のぼうしですが、レースやいくつものリボン、鈴、ボタンなどでデコレーションされていて、それがまたとても丁寧に繊細に描かれているので、へんてこなのか美しいのか・・・なんとも珍妙な、でもそれがまた、魅力的なぼうしになっているのです。

 

テクストも詩ですから、リズミカルで耳心地よく、まさに声に出して読む絵本、読んでもらう絵本、という感じ。

声に出して読んでもらうことで、子どもたちも心を解放して、うきうきした気分に手放しで包まれていくとことと思います。

 

カングル・ワングルは何者なのか、結局最後までわかりかせんが、そんなことはおかまいなし!

非現実的も不条理でも、さらりとこの独創世界に入り込んでいける柔軟な心こそが楽しめるという、ある種とても知的な世界観が、提示されているのかもしれませんね。

 

ふんわりと浮き上がるような楽しさ、絵本を読んでもらう楽しさそのものが味わえる、すてきな絵本だなと思いました。

短いので、他の絵本との組み合わせにもうってつけです。

                      

今回ご紹介した絵本は『カングル・ワングルのぼうし』

エドワード・リア文 ヘレン・オクセンバリー絵 新倉俊一

1975.10.25  ほるぷ出版  でした。

カングル・ワングルのぼうし

エドワード・リア/ヘレン・オクセンバリ ほるぷ出版 1982年02月
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