まりーちゃんシリーズの絵本
おまつりの日のうきうきとした気分が伝わる絵本です。
読み聞かせ目安 低学年 10分
あらすじ
今日はおまつりの日。
まりーちゃんは、朝からおおはりきりです。
自分で着替えて、ご飯を食べて、ベッドを整えて・・・
ひつじのぱたぽんは、まりーちゃんの様子をじっと見ています。
まりーちゃんはお父さんのスクーターに乗って、おまつり広場へ向かいました。
けれど、ぱたぽんはお留守番です。
ひつじが広場へいくのは、売られにいくときだけだからです。
おまつり広場はとってもにぎやか!
まりーちゃんはいろんな乗り物に乗りました。
メリーゴーランドに、ピンクのぶた、きいろいライオンの背中、そしてもちろん飛行機にも!
生姜ビスケットを買って歩いていると、お友達のぴえーるに会いました。
ぴえーるとオレンジジュースを飲んで、ダーツをやったら、なんと大当たり‼
かわいい赤ちゃん人形をもらいました。
一方ぱたぽんは、ひとりぼっちが嫌になって、まりーちゃんを探しに出かけました。
おまつり広場に着くと、占い師のファティマさんが、サーカスに行けばまりーちゃんに会えるといいます。
サーカスはとても賑やかですが・・・舞台の真ん中にはとっても大きな動物が!
灰色の大きな体、しわしわで耳は大きく、顔の真ん中に長いものがぶらさがっています。ぱたぽんは怯えて泣きました。
「メエーエーエーエー、まりーちゃん、メエーエーエーエー」
ぱたぽんの声を聞きつけて、まりーちゃんがやってきました。
ぱたぽんは荷車に乗り、お父さんのスクーターに引っ張られて家に帰りました。
読んでみて・・・
以前ご紹介した『まりーちゃんとひつじ』(1956.12.1 岩波書店)『まりーちゃんのくりすます』(1975.11.26 岩波書店)のシリーズ絵本です。
この絵本も先の2冊同様、とてもかわいらしい絵本です。
待ちに待ったおまつりの日。
朝起きたまりーちゃんは、うきうきした気持ちでいそいそと身支度を整えます。
自分で服を着て、朝ご飯を食べる。
パンにバターを塗って、ミルクにはちょっぴりコーヒーを入れて(コーヒーにミルクじゃないのねw)。
出かける前にはきちんとベッドを整えて。
淡々と毎朝のルーティーンをこなす様子が描かれていますが、それだけなのにひとつひとつの動作を積み重ねていく過程に、まりーちゃんのおまつりへの期待の募る気持ちが伝わってきます。
同時にそんな時でも、淡々とかつ丁寧に毎日の暮らしを積み重ねるまりーちゃんの、誠実な性格まで伝わってきます。
そんなうきうきしたまりーちゃんをみつめるぱたぽん。
いつもと違う様子が気になるようです。
いつでもどこでもまりーちゃんに付いていくぱたぽんは、気が気でしょうがなさそうに、ドアの陰からまりーちゃんをみています。
でも、ぱたぽんのそんな気はよそに、まりーちゃんはぱたぽんを置いて、おまつりへと出かけてしまいました。
おまつり広場でも、あちこちから賑やかな音楽が聞こえて、まりーちゃんの心はうきうき。メリーゴーランドや飛行機など、さまざまな乗り物やお菓子など、目にしたものが淡々と語られていきますが、ここでも朝の仕度の時同様、リズミカルに動作が語られていくので、まりーちゃんの気持ちが、どんどん膨らんでいくのがよく伝わってきます。
ビスケット売りのおじさんが、ピンクのお砂糖で「まりーちゃん」と書いてくれた豚型の生姜ビスケット。
仲良しのぴえーるといっしょに飲むオレンジジュース。
素朴な食べ物も、お祭の日は格別です。
絵もあいかわらずの素朴なタッチ。
カラーページと白地に黒とうすピンクだけのページが、交互に出てくる構成ですが、カラーページは、まるでおもちゃ箱をひっくり返したかのような、明るく楽しいページです。
モノクロ?ページは、黒がどちらかというと濃茶に近くて柔らかく、そしてうすピンクの部分がなんともステキ!ちょっとグレーがかったピンクの濃淡で品が良く、かわいいながらもシックでステキなんです。このピンクが、絵本全体の印象を決めているといっていいくらい、効果的に使われています。
幼い子どもが読む絵本ですが、甘ったるくなく媚びたところがありません。
ぱたぽんも、今回はちょっと冒険しましたが、無事まりーちゃんに会えて、お家に帰れてほっと一安心。行って帰るの法則もちゃんと踏まえられた、子どもに安心感を与えてくれる絵本です。
やっぱり「まりーちゃん」の絵本は、春のひだまりのような絵本。
おおらかで屈託なく、子どもたちを優しさで包み込んでくれるステキな絵本です。
今回ご紹介した絵本は『まりーちゃんとおまつり』
フランソワーズ作・絵 ないとうえりこ訳
2005.1.31 徳間書店 でした。
まりーちゃんとおまつり |
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