絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『あなはほるものおっこちるとこ』

子どもたちの言葉と遊びの世界

  日常にあふれている言葉たちが、子ども独自の目線でさまざまに意味づけされている面白い絵本です。

あなはほるものおっこちるとこ

ルース・クラウス/モーリス・センダック 岩波書店 1992年06月
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by ヨメレバ

 

読み聞かせ目安  低学年  4分

 

あらすじ

 

子どもにとっての、いろいろな「もの」。

 

マッシュポテト、顔、犬、手、穴、地面、草、パーティー、腕・・・。

 

40以上のいろいろな「もの」が、どんなものなのか、何のためにあるのか、どういう使い方をするのかを、「ちいちゃい こどもたちの せつめい」として、子ども目線から意味づけされていきます。

 

  

 読んでみて…

 

作者ルース・クラウスが、幼稚園や保育園で見聞きした、子どもたちが話す言葉の定義を集めた絵本です。

 

ストーリーはなく、副題に「ちいちゃい こどもたちの せつめい」とあるように、ただひたすら「~は、~なもの」、「~は、~なもの」と、まるで『枕草子』の「ものは付け」のように、子どもたちが、身の回りのさまざまな「もの」について説明しています。

 

「せつめい」は、頭や手といった自分たちの体の一部から、猫や犬といった身近な動物、地面、穴、草、お日様などなど多岐にわたります。

 

すべて子ども目線のユニークな発想!!

 

「かおは いろんな かおを するためにあるの」

「かおは あたまの まえに ついているもの」

「おやゆびは ひょこひょこ うごかすもの」

「まゆげは めの うえで うごかすもの」

 

当たり前だけれど、そういえばそうねと、はっとさせられるものばかりです。 

 

「いぬは ひとを なめる どうぶつ」

「ねこは こねこを うんでくれる どうぶつ」

「ねずみは チーズを たべる どうぶつ」

 

動物の説明の場面では、たくさんの犬や猫と触れ合って、うっとりしている子どもたちの絵が描かれています。

 

「あなは ほるもの」

「どろんこは とびこんで すべりこんで おっころりんの しゃんしゃんて やるところ」

「ては いろんなものを つくるため」

「ては ものを たべるため」

「テーブルスプーンは テーブルを たべるため」

 

なんてところは、教室で聞いている子どもたちから、

 

「あたりまえじゃーん」

「なに、それー?」

 

と声が聞こえてきます。

 

それぞれの説明に添えられたセンダックの絵も、クリーム色の地に黒で描かれただけのシンプルな絵ですが、楽しそうに遊ぶ子どもたちの姿が、とても伸びやかに生き生きと描かれています。

 

ひとりひとりの子どもの表情も、百面相をしているようにユーモラスで豊かです。

 

とりとめもなく、自由に、勝手気ままに思いつく「もの」を説明しているようですが、

人に関する説明では、

 

「おにいさんは ぼくを たすけてくれるひと」

「こどもは かわいがるもの」

「えんちょうせんせいは とげを ぬいてくれるひと」

 

体に関する説明では、

 

「ては つなぐために あるの」

「だきあうために うでが あるのよ」

 

というふうに、何気なく大切な部分をついていて、本質を見抜く目にはっとさせられます。

 

そして、終わりの方では、

 

「おひさまは すばらしい ひに なるように でてくるもの」

 

とあって、ぴかぴか輝く太陽のもと、たくさんの子どもたちが、手に手に風船や旗を持ち、楽器を鳴らしながら、楽しそうにパレード!!

 

体いっぱい使って自己表現しながら、遊ぶ子どもたちの姿が描かれています。

 

そして、最後の最後で、

 

「ほんは みるもの」

 

とあって、存分に遊び、遊び疲れた子どもが、大きな本を見ながら、本につっぷし、本を枕にして、ぐっすりお休み・・・でおしまい。

 

さんざんにぎやかに遊んだあとの、満足しきった寝顔が印象的です。

 

さまざまな事柄に、子どもなりの意味があること。この絵本に取り上げられた言葉たちは、とりとめもない言葉の羅列ではなく、子どもたちが体をいっぱいに使って遊び、生活している中から生まれてきた特別な言葉でたちであることに気づかされます。

 

子どもたちの日常が、日々新鮮な発見と創造の毎日なんだなと気づかされる、大人にとっても、とても新鮮で面白い一冊です。

 ありふれた日常の言葉に、思いがけない広がりと、子どもたちの生きる喜びを感じさせてくれるすてきな絵本です。

 

 

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今回ご紹介した絵本は『あなはほるものおっこちるとこ』

ルース・クラウス文 モーリス・センダック絵 渡辺茂男

1979.7.9 岩波書店 でした。

 

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