絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『はたらきもののじょせつしゃけいてぃー』

楽しくて美しい知的な絵本

 子どもが何度でも読み返してしまう興味がつきない絵本です。

はたらきもののじょせつしゃけいてぃー新版

ヴァージニア・リー・バートン/石井桃子 福音館書店 1982年07月
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by ヨメレバ

 読み聞かせ目安  低学年  7分

 

あらすじ

 

 けいてぃーは、じぇおぽりすという町の道路管理部で働く、キャタピラーのついた赤い立派なトラクターです。

とても強くて大きくて、ブルドーザーや除雪機などの部品を付け替えると、いろいろな仕事ができました。

 

夏には、ブルドーザーを付けて道を直したり、池に落ちたスチームローラーを引っ張り出したり。

 

けいてぃーは、働くのが大好きで、難しく力のいる仕事があればあるほど、喜びました。

道路管理部の人たちも、けいてぃーを自慢に思い、

 

けいてぃーに やれないことは、なにもないんだ」

 

と、いつもいっていました。

 

そして冬。

道路管理部の人たちは、けいてぃーに除雪機を付けました。

 

けいてぃーが、出番をじっと待っていると・・・

ある朝、雪が降りはじめ、10センチ、20センチ、30センチ・・・1メートル、1メートル半、1階の窓、2階の窓まで雪が積もり・・・。

 

じぇおぽりすの町はすっかり雪に覆われ、道は通れなくなり、車は走れなくなり・・・

学校もお店も、工場も全部お休みになりました。

そして、普通の雪かきトラックも、すっかり動けなくなってしまいました。

 

それでも・・・、けいてぃーだけは動いていました!!

 

ゆっくり、じっくり、けいてぃーは雪をかきのけていきます。

 

そんなけいてぃーに、

 

「たのみます!」

 

と、警察の署長さんが、雪かきを頼みます。

 

「よろしい。わたしに ついて いらっしゃい」

 

と、けいてぃー

 

郵便局長さんも、電力会社の人も、水道局の局長さんも、お医者さんも、消防署長さんも、けいてぃーに雪かきを頼みました。

 

けいてぃーが、じぇおぽりすの町の雪をすっかりかきのけ、道をつけると・・・、飛行機からも救助を頼む声が!

 

飛行場も雪でうずまり、飛行機が着陸できなくなっていたのです!

けいてぃーは、もう、すこしくたびれていましたが、途中で仕事を投げ出したりは決してしません!!

 

けいてぃーは、町中の雪という雪をかきのけ、大事な仕事を全部すませてはじめて、家へ帰りました。

 

けいてぃーのおかげで、バスや自動車は、また町中を走ることができるようになりました。消防の人たちも、お医者さんも、郵便屋さんも、お巡りさんも、みんな仕事ができるようになりました。

電話も通じ、電灯もつき、水道も修理されました。

 

じぇおぽりすの町は、すっかりいつもの暮らしができるようになりました。

 

 

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 読んでみて…

 

息子が幼稚園のとき、何度も何度も繰り返し借りてきた絵本です。

 

息子の通っていた幼稚園では、毎週水曜日が本の貸出日でした。

朝、登園すると、子どもたちは「本バッグ」を抱え、「絵本のお部屋」の前にずらーっと並び、「本係り」のお母さんたちから、絵本を貸し出してもらっていました。

 

ワクワクと楽しそうな顔で、廊下に並んでいた子どもたちの顔が、いまでもとても懐かしく思い出されます。

 

息子が、今週は何の本を借りて来るのかを、私も毎週楽しみにしていたのですが、

 

「あれ?!また、これ借りてきたの?」

 

何度も何度も、同じ本を借りて来るのです!

それがこの『はたらきもののじょせつしゃけいてぃー』でした。

 

 

けいてぃーは、真っ赤なかわいい除雪車

かわいいけれど、実はけっこう大きくて力持ち。けいてぃーにできない仕事はありません。

 

けいてぃーは、仕事が大好きで、いつも一生懸命働きます。大変な仕事であればあるほど。道路管理部の人たちも、そんなけいてぃーが大好きで自慢にしています。

 

お話のはじめ、冬が来るまでの導入部分では、けいてぃーの機能性能が詳しく語られ、いかにけいてぃーが、優秀で、じぇおぽりすの町の役に立ち、人々から信頼され、愛されているかが、伝わってきます。

 

けいてぃーの力が、55馬力というのも、55頭の馬を描いて説明し、その力のほどを、小さな子どもにも、具体的にわかりやすく、かつ楽しく見せてくれています。

 

そして、けいてぃーが、働くじぇおぽりすの町を示した地図のすばらしさ!

 

とても細かく描き込まれていて、1から30まで番号が振ってあり、地図の周りにぐるりと、番号に対応した施設の絵が描かれています。

これから始まるけいてぃーのお話が、この町のそれぞれの場所で、どんなふうに展開されていくのか、見ている者の期待をワクワクとふくらまさせます。

 

また、この地図がすばらしいのはそれだけではなくて、一見ラフに描かれているように見えますが、実は正確で、その後に展開されるお話の場所と場所が、きちんと地図上で確認できること。方位もきちんと示されていて、けいてぃーが雪をかいて進んでいく道は、くねくねと縦横に渡りますが、そのつどそのつど、各場面ごとにも方位が示され、最初のこの地図とずれることなく、きっちり対応しているのです!!

 

子ども向けの絵本といえども、手抜きなく、誠実に、正確に描かれています。

 

好奇心旺盛な子どもたちは、ここで起こった出来事がここであり、ここで困っている人をここでけいてぃーが助けてやり、と確認しながら読み進め、読み進めてはまた地図に戻りしながら、あきることなくこの絵本を楽しむことができます。

 

実に丁寧で、正確で、愛情のこもった知性を感じます。

 

けいてぃーの他にも、道路管理部で働くいろいろな車が示されたり、町の施設を細かく描き込んだりすることで、町にはどんなものがあり、どんな職業の人がいて、社会がどう形成されているのかも、さりげなく子どもたちに教えてくれます。

 

そしてその社会が、大雪という自然災害に見舞われるとどうなるか。

 

具体的なアクシデントの数々を示し、それらがどう解決され、回復されていくのかという様子も見せ、幼い子どもたちに、社会の機能というものを教えてくれているのです。

 

絵は、雪のお話ということもあって、白をベースに水色で、縁取りと雪の陰影をデザイン性豊かに描いています。

 

表紙見返しは裏も表も、白と水色の吹雪の中、懸命に雪かきするけいてぃー

白と水色だけの世界に、真っ赤なけいてぃーが、とても印象的に映ります。

 

町の建物や人、車などは、赤と黄色と緑だけの絞った色数で描かれ、すっきりとした印象を与えながらも、町のにぎやかな活気が伝わってくる楽しい絵になっています。

 

 

この絵本を読んで、はじめ子どもたちは、10センチ、20センチ・・・、1メートル、1メートル半・・・、1階、2階と降り積もっていく雪に驚きながら、すっかり雪にうずまった町の各所を、

 

「よろしい。わたしに ついていらっしゃい」

 

と、雪をかきのけ進んで行くけいてぃーに、心がすくような頼もしさを感じながら、けいてぃーと一緒に、町の機能を回復させる喜びと充実感を味わうでしょう。

 

地図と各ページを、

 

「あっちから、こっちから。あっちから、こっちから。」

 

とたどりながら、何度も何度も、あきずこの絵本を見ていた息子のように。

 

そして何度も読み返し、楽しみながら、自然にこの絵本を通して、社会のしくみや機能、日常生活の基盤となっているものに気づき、自分もその一員であることを自覚していくようになるのだと思います。

 

丁寧に誠実に、ごまかしなどなく正確に、愛情をこめて作られた、美しく知的な魅力にあふれた絵本だと思います。

 

何度も何度も手に取って、そのたびに楽しい発見をしながら、自分と自分の周りにあるもののかかわりを理解していけるすばらしい絵本です。

 

 

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 今回ご紹介した絵本は『はたらきもののじょせつしゃけいてぃー』

V.L.バートン文絵 石井桃子訳 1978.3.20 福音館書店 でした。

 

 思い出を一冊に♡

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