絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『まりーちゃんのくりすます』

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今週のお題「クリスマス」

ほのぼの気分のクリスマス♡

  素朴で純真な暖かさに満ちたクリスマスの絵本です。

まりーちゃんのくりすます

フランソアーズ/与田準一 岩波書店 1983年03月
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 読み聞かせ目安  低学年 5分

 

 あらすじ

 

もうすぐクリスマス!

まりーちゃんはクリスマスを楽しみにしています。

 

でも、羊のぱたぽんは、クリスマスを知りません。

 

まりーちゃんは、ぱたぽんに教えてあげました。

クリスマスは、イエス様がお生まれになった日で、おりこうな子にはサンタクロースがプレゼントをくれることを。暖炉のそばに木の靴を置いておくと、プレゼントをいっぱい入れてくれることを。

 

まりーちゃんは考えます。

サンタクロースは、何を持ってきてくれるかしら?

小さな白い星がいっぱいついた赤いスカーフ?

新しいお人形を載せる車?

大勢のお人形がついたイエス様の飼い葉おけ?

 

まりーちゃんが、あれこれプレゼントを考えるたびに、ぱたぽんはまりーちゃんがそれらのプレゼントをもらえるだろうといいます。

けれども自分に対しては、

 

「でも わたしは、だんろの そばに くつを おくことが できません。だから さんたくろーすは、わたしには なんの ぷれぜんとも おいてっては くれないわ、まりーちゃん」

 

というのです。

 

そこでまりーちゃんは、

 

「ぱたぽん。」

「もしも おまえが とっても おりこうに していたら、なにかを もらえるわ、きっと」

 

といって、木の靴を作っているおじいさんの所へ行きました。

そして、ぱたぽんのために、小さな一足の靴を買いました。

 

クリスマスイブの夜。

まりーちゃんは、暖炉のそばに一番上等の靴と、ぱたぽんのために買った新しい小さな靴を置いて眠りました。

 

すると・・・

夜中にサンタクロースがやって来ました!!

誰にも見られずにね!

 

クリスマスの朝、まりーちゃんの靴の中には、大勢の人形たちが微笑み、ぱたぽんの靴の中には・・・黄色いサテンのリボンのついたリンリンと鳴るベルが入っていたのです!!

 

ぱたぽんは、嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねました。

 

  りん!りん!りん!

  ちいさな べるはなりひびきます。

   くりすます!

    くりすます!

     くりすます!

 

 

【特集】2019 絵本ナビのクリスマス

 

 

読んでみて…

 

『まりーちゃんとひつじ』(1956 岩波書店)の、まりーちゃんと羊のぱたぽんのクリスマスのお話です。

 

masapn.hatenablog.com

 

『まりーちゃんとひつじ』に引き続き、この絵本もとてもかわいく、ほのぼのとした絵本になっています。

 

クリスマスを知らないぱたぽんに、まりーちゃんはイエス様のお誕生日であることと、サンタクロースからプレゼントをもらえることを教えます。

 

そしてあれこれプレゼントに対して、夢を膨らませ・・・あれやこれやと想像して楽しみます。

 

でも、ぱたぽんには靴がない!

 

まりーちゃんが、ひとつひとつプレゼントを想像し、夢を膨らませるにつけ、ぱたぽんがひとつひとつ、「でも わたしは、だんろの そばに くつを おくことが できません。」と否定する。

 

まりーちゃんが夢を語り、ぱたぽんが否定する。

 

『まりーちゃんとひつじ』で、羊の毛がたくさん取れたら何を買おうかと、まりーちゃんがあれこれ夢を膨らませるにつけ、ぱたぽんが、お日様が輝きひなぎくが咲き乱れる緑の原っぱさえあれば他には何もいらないと否定していたのと、同じ構造になっていて、思わず笑ってしまします。

 

でも、『まりーちゃんとひつじ』と『まりーちゃんのくりすます』のぱたぽんは、ちょっと違います。

『ひつじ』の時はとても達観した様子で無欲でしたが、『くりすます』では・・・プレゼントがもらえないのを、ちょっとひがんでる!?

 

そんなぱたぽんを見て、まりーちゃんは靴を誂えてやります。

 

そして、クリスマス!!

優しいまりーちゃんと仲良しのぱたぽんの所に、サンタさんが!!

 

ぱたぽんは、きれいいなベルをプレゼントしてもらえてとても嬉しそう!

でも、ぱたぽんがプレゼントをもらえて、いちばん嬉しかったのは、きっとまりーちゃんの方でしょうね。

 

 

『まりーちゃんとひつじ』もそうでしたが、この絵本も、のどかでおおらかで暖かい優しさに満ちています。

クリスマスを楽しむ、純真なこどもの喜びでいっぱいです。

 

テクストは、まりーちゃんのプレゼントへの夢の語りと、ぱたぽんの否定の語りが交互に出ては繰り返す構成になっていて、詩のリフレインのような感じでリズムがあり、ゆったりと流れていく詩情を感じます。

 

絵も、ほのぼのとしてかわいい絵です。

明るい色遣い、ちょっと稚拙な感じがする伸び伸びとした絵は、細かいところまで描き込まれていて、子どもの興味をそそります。

まるでおもちゃ箱を覗いているような感じです。

 

雪の降るクリスマスイブの夜、サンタさんがやってくる場面は、見開き全部使って、サンタさんとロバ!?を真ん中に色鮮やかに描かれ、見ているだけでワクワクします。

 

ベルをもらって喜んで、ぴょんぴょん跳ねるぱたぽんも愛らしさ満点です。

 

素朴で愛らしい、純真な喜びに満ちたかわいい絵本です。

幼い子どもが、無邪気にクリスマスを楽しむのにぴったりの絵本になっていると思います。

 

クリスマスを心待ちにする子どもたちと楽しく読みたい一冊です。

 

 

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 今回ご紹介した絵本は『まりーちゃんのくりすます』

フランソワーズ作・絵  与田準一訳

1975.11.26  岩波書店  でした。

 

 

クリスマスのプレゼントに!

【特集】2019 絵本ナビのクリスマス

 

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