頼れるおとうさん
スモールさんは家庭人としても働き者。理想のおとうさんです。
読み聞かせ目安 低学年 4分
あらすじ
スモールさんの家族は、おとうさんであるスモールさんと、おくさん、赤ちゃんとポール君、ポリーちゃんの5人です。丘の上の大きな家に住んでいます。
スモールさんは、毎朝ひげをそり、仕事にでかけます。
おかあさんはお掃除にお料理。子どもたちも手伝います。
おとうさんが仕事から帰ってくると、みんなで晩御飯。
おかあさんが片付け、おとうさんは一休み。
月曜日は、お洗濯。スモールさんも物干しをお手伝い。
スモールさんは水曜日には、部屋を飾りつけ、木曜日には、台所の水漏れを修理します。
金曜日は、草をかり、土曜日には家族みんなでお買い物。
畑仕事もみんなでやります。
そして日曜日には、教会へ。
帰ってきたら、日曜日のご馳走をつくります。おとうさんもお手伝い。
午後には、ドライブ。
夜になると、おとうさんが、子どもたちに読み聞かせをして休みます。
これが、スモールさんの家族のお話です。
読んでみて…
『ちいさいしょうぼうじどうしゃ』のスモールさんのお家でのお話です。
スモールさんは家庭でも働き者。理想のお父さんです!
毎朝きちんと身支度を整え、仕事にむかい、帰ってきたら家族そろって晩御飯。みんなで、おいしいおいしいといただきます。
洗濯に、家のしつらえ、修理。買い物、庭や畑仕事。家族そろってのお出かけetc・・・。
スモールさんは、なんでも家族そろっていっしょにやります。
ちょっとひとやすみも当然しますが、奥さん任せでなく、何でもやるお父さん。
子どもたちも、そんなお父さんを尊敬して、慕っているのがよくわかります。
お父さんの髭剃りを見るのが好きだったり、仕事に出るお父さんに手を振って見送ったり、帰ってきたら走って迎えにいったり。
お父さんといっしょに家のお手伝いも進んでします。
特に男の子のポール君は、いつもお父さんの隣にいて、お父さんの家での仕事をまねるように、お手伝いをしています。
男の子はこういうふうに、家でのお父さんのようすを見て、お父さんの家仕事を学んでいくんだなと思いました。
ご主人がこんなに家仕事をしてくれたら、奥さんはさぞかし幸せだろうなと思い、スモールさんの奥さんを見ると・・・、やっぱり幸せそう!!
バラ色の頬の美しい奥さんは、いつも笑みをたたえてお料理にお洗濯、さまざまな家事をてきぱきとこなします。
スモールさんが庭の草かりをしているとき、奥さんは安楽椅子でひとやすみ。
幸せそうに、遊ぶ子どもや、働くご主人を眺めています。
うらやましい・・・。
理想的な家族です。
アメリカでの初版が1951年というこの絵本。理想のお父さん像は今なお色あせず、子どもたちにお家の中の仕事をする喜びと、家族で家仕事を分かち合う幸せを見せてくれます。
そう!家仕事を分かち合う喜びと幸せ!!
スモールさんのお家での姿には、夫の家事、育児への参画とか、分担とか、役割とか、おしつけがましい負の要素がなく、心から、家で家族とともに働くことに喜びと幸せが感じられるのです。
以前ご紹介した、消防士のスモールさんも、お百姓のスモールさんも、働くことへの喜びに満ちていましたが、『おとうさん』のスモールさんも、「職業」としての仕事と同等に「家事」をすることを楽しみ、喜び、「働く」ということのすばらしさを子どもたちに見せてくれているのです。
家事や育児を、いやいやではなく、おしつけではなく、喜んで。
外での仕事と同等に。
あくまでも「理想」かもしれませんが、お父さんが主人公の絵本もなかなかないもの。
朗らかでまっすぐで、働くことへの喜びに満ちたスモールさんのお家での姿を見て、男の子も女の子も、そしてお父さんもお母さんも、家仕事の喜びを、ともに働く楽しさを再確認したいものだなと思いました。
家庭は社会の基本。家事は生活の基本。仕事の基本。
家仕事を誰もが同等に、何よりも一番大事にしなければならないものだなと、今さらながらではありますが、感じ入らせてくれる絵本です。
お家で過ごす時間が多い今。家族みんなでこんな絵本を見るのもいいなと思いました。
今回ご紹介した絵本は『スモールさんはおとうさん』
ロイス・レンスキー文・絵 渡辺茂男訳
1971 福音館書店 でした。
スモールさんはおとうさん |
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『スモールさんはおとうさん』は初版時は3色刷りでしたが、現行版は多色刷りになっています。出版社も福音館書店から童話館出版に変わっています。
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