絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『山のクリスマス』

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初めてづくしのクリスマス

  山の村で過ごす初めてのクリスマスが、生き生きと新鮮に描かれた絵本です。

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読み聞かせ目安  中・高学年  ひとり読み向け

 あらすじ

 チロルの街、インスブルックに住む少年ハンシは、クリスマス休暇に山のハーマンおじさんの家に行くことになりました。

 

初めて一人で汽車に乗ります。お母さんと離れ離れになるのも初めてです。

お母さんと離れるのはつらいけど、初めての一人旅。登山列車で山登りです!

 

山の村へ着くと、郵便屋のゼップルさんが迎えに来てくれました。

ゼップルさんと一緒に、馬車で山を登り、ハーマンおじさんの家に着きました。

 

おじさんの家には、おばさん、いとこのリーザール、犬のワルドルがいます。

みんなハンシを暖かく迎えてくれました。

 

山の家はとても大きく、3つものストーブに、うんと薪をくべないといけないほどです。

 

山のおじさんの家で、ハンシはたくさんの初めてのこと、楽しいことを体験します。

 

おばさんとリーザールと一緒に、はちみつのクリスマスのお菓子を作ったり、スキーをしたり、鹿に餌をやったり。

 

スキーのときは、犬のワルドルに古い樽で作ったスキーをはかせ・・・、ワルドルがすごいスピードですっとんでしまい・・・大騒ぎに!!

 

楽しい山でのクリスマス休暇は、あっという間に過ぎ、最後の大イベント、クリスマスのお祝いです!!

 

この日は、一年中で一番長く忙しい日!

ハンシも、何度もお使いにやられました。

 

たくさんのごちそうにプレゼント!!

 

夜になると、三人の王様が歌を歌いに来ました。

三人の王様は、星の知らせでイエス様のお誕生を知り、はるばる東の砂漠から贈り物を持ってきた賢者たちです。この三人は、村の子どもが扮したもので、村の家々を歌って回ります。

 

それから、星が瞬く夜道を、教会へ向かいました。

古いパイプオルガンに太鼓、笛、バイオリンに合わせて、ハンシもみんなと一緒に歌い、お祈りしました。

 

クリスマスが過ぎると、もうお別れの時。

ハンシもリーザールも悲しくてしかたありません。

おじさんたちは、夏休みにまた来るといいと言います。

 

帰りの汽車の中でも、悲しくて寂しくてしかたありませんでした。

 

でも・・・、駅に着くとお母さんが待っていました!

山でいろいろな体験をしたハンシは、馴染みの市場のおばさんが見違えるほど大きくなっていました。

 

ハンシは、街から遠く上の方にある山を見上げました。

山は以前よりも、近く見えるような気がしました。

 

 読んでみて…

 以前ご紹介した『げんきなマドレーヌ』(1972.11.10 福音館書店) の作者ベーメルマンスによる絵本です。

 masapn.hatenablog.com

 

絵本ではありますが、テクストが長いので、残念ながら読み聞かせには向きません。

 

けれど、絵がまだまだたっぷりあって、絵でも物語を十分に語ってくれているので、絵本から、ひとり読みの物語の読書へ移行していく時期に、ぴったりの本になっています。これからやってくる、寒い冬休みの読書にぴったりの一冊です。

 

お話は、チロルのインスブルックの街から、いつもアルプスの山々を見上げて暮らしていた少年ハンシが、クリスマス休暇に山でたくさんの経験をする、というものになっています。

 

いろいろな初めての経験をする少年ハンシの感情が、生き生きと新鮮に描かれています。

 

初めてお母さんと離れ離れになる今まで感じたことのない寂しさ。

せっかく喜んで乗ったのに、「汽車をまわれ右させて、うちへかえりたい」と思ってしまいます。

 

初めての親戚の家では緊張や照れくささを感じ、ご挨拶する時は、小さな声で「ええ」とか「うん」ぐらいしか言えないでいます。

 

こんな風に初めのうちは、落ち着かない気持ちで、ドギマギしていたハンシでしたが、やっぱり好奇心旺盛な子どもです!次第に初めて見るもの感じるものにどんどん興味をそそられ、気分が高揚していきます。

 

この絵本には、そのハンシの気分の高揚が、大きな出来事から、小さな事まで、細大漏らさず丁寧に描かれています。

 

登山列車は、山にかかると蒸気をいっぱい出して、うんうんひっぱるけれど、遅くなること。

山の人々は、雪とお日様に焼けて真っ黒な事。

山のてっぺんから見る夕日の美しさ。

夕日が消えると、静かな夜が訪れて、暗く氷のように冷たくなること。

 

そこに暮らしていれば当たり前のようなことが、初めて見聞きする少年ハンシにとっては、すべてが珍しく、新鮮な驚きの連続であることが、生き生きと描かれているのです。

 

よその家に泊まった翌朝、知らない部屋で目を覚ますすばらしさを感じるところなど、子どもらしい感情の揺れやほとばしりまで、細かく生き生きと表現されています。

 

 

初めてのスキーでは、犬のワルドルが行方不明になり、リーザールとスキーを履いたまま村中を大捜索!!

大変な思いをしたけれど、大人たちに暖かく見守られ、ワルドルも見つかり、心からほっとしたり・・。

クリスマスイブのお祝いも、ハンシの目には何もかもが特別で素晴らしく映っています。

 

絵も生き生き、伸び伸び描かれています。

真っ白な雪。真っ青な空。夜には満天の星が瞬く山の村で、子どもも動物も伸び伸び遊び、育っていく様子が伝わってきます。

 

絵の中で、一番興味を惹かれるのは、表紙見開きに大きく描かれた、ハーマンおじさんの大きな山の家の見取り図!!

 

キッチンにリビング、寝室、子ども部屋、洗濯物が長々と干してある部屋や、地下室まで、細かく描き込んであって、とても興味を惹かれます。

人形の家で遊んでいるような気分になってきます。

 

初めての数々の経験をする少年の、細やかな心の動きと驚きをテクストで余すことなく語り、絵でもその楽しさ面白さをユーモラスに語っている素敵な絵本です。

 

 

山でいろいろな経験をしたハンシは、一回りも二回りも大きくなって、街に帰ります。お母さんや市場のおばさんが、見違えるほど!

 

見かけだけでなく、ちょっと内弁慶だったハンシの心も、一回り二回り以上、大きくなっているようです。

山へ行く前は、遠くに雄大にそびえていたアルプスの山々でしたが、帰ってきたハンシには「いくらか、山にちかくなったようなきがしました」と感じられるようになっています。

 

もうすぐ冬休み。多くの子どもたちがいろいろな経験をして、ハンシのように身も心も一回りも二回りも、大きくなってくれたらいいなと思います。

 

今回ご紹介した絵本は『山のクリスマス』

ルドウィッヒ・ベーメルマンス作・絵  光吉夏弥訳

1987.9  岩波書店  でした。

山のクリスマス

L.ベーメルマンス/光吉 夏弥 岩波書店 1953年12月10日頃
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