頼れるお母さん。そして美しい版画。
子どもの母への信頼と、屈託ないかわいらしさいっぱいの美しい絵本です。
読み聞かせ目安 低学年 3分
あらすじ
生まれた時からずっとお母さんのそばにいるカバの子どもヒッポ。お母さんのそばにいさえすれば、怖いものなしのヒッポ。
そんなちいさなヒッポに、言葉を覚える時期が来ました。
「グァオ、ヒッポ!」と、まずおかあさんが ほえてみせます。
「グッ グッ!グァオ!」と、ヒッポが、くりかえします。
「グァオ、こんにちは!」
「グッ グァオ、おんにちは!」
「グァオ、あぶない!」
「グッ グァオ、あぶらい!」
「グァオ、たすけて!」
「グァオ、たっけて!」
「いいかい、ヒッポ、グァオがとてもだいじなのよ。」
お母さんに教わりながら、ヒッポは何度も何度も練習して、シマウマや仲間のカバ、水牛などに声をかけていきます。
そんなある日、大人たちが眠っている間に、ヒッポは川の上の明るい方にひとりで行ってみました。
すると・・・、ヒッポは大きなワニにがぶりと噛みつかれてしまいます。
「グッ グッ グァオ!たすけて!」
ヒッポの叫び声を聞きつけたお母さんは、大きな口でがぶりとワニに噛みつき、放り投げ、ヒッポを助けるのでした。
読んでみて・・・
シンプルな筋立てのお話ですが、お母さんへのヒッポの限りない信頼感と、子どもを守るお母さんのものすごい迫力が、深く印象に残る絵本です。
多色刷りの版画で描かれている美しい絵も、ヒッポとお母さんの間に暖かい愛情が通っている様子を存分に描き出しています。
いつもお母さんのそばにいるヒッポ。パピルスの茂みでお母さんの背中に乗るヒッポ。暖かい眼差しで見つめ合う親子の姿。少しくすんだ淡いピンクや黄緑の色彩は暖かく、ヒッポ親子やアフリカの自然のおおらかさが、ゆったりとかつダイナミックに表現されています。
特に、ヒッポのお母さんがヒッポを助けようと、がばと大きな口を開ける場面は大迫力!見開き1ページ分全部使って大きな口が描かれています。読み聞かせをしていた教室で、児童と一緒に聞いてくださっていた男の先生も「おお!!」とのけぞるほどの大迫力なのです。
お母さんに助けられたヒッポは、その晩お母さんから
「わすれちゃ だめ! ちいさな かばは、どんなときでも『グァオ』って さけぶのよ!」
とおこごとをもらいます。そのヒッポの返事は、
「グァオ、おかあさん!」
こんなにもお母さんを信頼しきっているヒッポの姿に、親を、親が思っている以上に信頼して、愛をよせてくれる子どもの姿をみとめます。この愛と信頼にしっかり応えられる親でいなくてはなあと思います。ヒッポのお母さんのように。
今回ご紹介した絵本は『ちいさなヒッポ』
マーシャ・ブラウン作・絵 内田莉莎子訳
ちいさなヒッポ |
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