自然遊びの達人になれる本
草花・葉っぱ・木の実、自然の恵みでいっぱい遊ぼう。
読み聞かせ目安 低・中・高学年
あらすじ
野山でみつけたいろいろな自然の素材で、楽しいクラフト作成をします。
春は、「ツバキのお雛様」。キンカンの実で「おくるみ赤ちゃん」。
タンポポは、種飛ばしはもちろんのこと、「指輪」や「ブレスレット」を作ったり、「シャボン玉のストロー」だってできちゃいます。
夏は、シュロの葉っぱで、「カタツムリ」や「カマキリ」、葉っぱを編めば「馬」や「龍」など複雑なものも作れます。
ヒマワリやナデシコの花で、動物や妖精を作ったりetc・・・。
秋は、ススキで「オオカミ」や「お人形」、「フクロウ」を作って。
紅葉した柿の葉っぱで「お姫様」。葉っぱの色目で襟の重ねも美しく。
イチョウの葉っぱも、いろんな動物に大変身!
木の実や種、落ち葉、秋の野山はクラフト素材も盛りだくさん。
冬は、どんぐりや松ぼっくりを組み合わせ、いろんな動物を作ります。
食べ終わったあとのミカンの皮も、捨てちゃう前にちょっと遊んで、気軽にいろんなものが作れます。
自然からの贈り物を使って、自然との一体感を味わいながら、想像を広げて楽しく遊びましょう!
読んでみて・・・
今回ご紹介するのは、いつもとちょっと毛色が違って、絵本でも物語の本でもなく、自然遊びのクラフト作成本です。
読み聞かせになるものではありませんが、読み聞かせを始める前の導入に、作った物をちょっと紹介して、季節感や自然に対する関心を惹くきっかけ作りいいのではないかなと思い、ご紹介してみることにしました。
季節感を感じる絵本や、自然がテーマの絵本を読む前などの導入に、ちょっと触れてみるのはいかがでしょうか。(こちらが中心になってしまう危険性!?もありますがww)
内容は、木の実や草花など自然の恵みを使った、さまざまな物の作り方の紹介です。
春夏秋冬の部立てで、それぞれの季節の自然物で作るクラフトの数々が紹介されていきます。
ユキヤナギの冠をかむったツバキのお雛様。
まだ蕾のツバキは、つくしの手足を付けて、ラッパスイセンのブラウスと、セイヨウカナメを寄せたスカートを穿かせれば、バレリーナに!
春を迎えてふくらみはじめたヤナギの芽。さやを被った芽に、粟や稗で目を付けて、メロンの種で手足を付ければ、ちっちゃなかわいいペンギンに!
手の入れようで、表情だって様々に。
いろんな自然物を集め、想像を広げれば、いろんなものが作れます。
自然の素材は、プラスチックなどの人工物とは違って、それぞれ独自の形や色目、肌触りがあって、五感をフル稼働させる力があります。
生き物が子孫を残すために生んだ、実や種。
生命のきらめきを感じる新芽や花。
自然物の命そのものを使って作るクラフト遊びは、子どもたちの生きる力も育んでくれるでしょう。
この本では、クラフト作成の手順はもちろんのこと、間にコラムとして、「タンポポの不思議」や「南国植物のシュロが本州でも増えている!」など、身近な自然の思いがけない話なども、いろいろ教えてくれます。
クラフト作成初心者のために、「作品づくりにあると便利な道具」などの、丁寧な紹介もあり、見ているだけでワクワクしてきて、自分でも作ってみたくなります。
もちろん、特別な道具などなくても、ちょちょいと素手で簡単にできるものも。
松ぼっくりのもりのくまさん。
まねして作ってみたみかん動物。デコポンの皮でくまさんにしてみました。
現代の子どもたちは(大人もですが・・・)テレビ、アニメ、ゲーム、動画などの、仮想現実に取り囲まれ、本物の刺激とはかけ離れた刺激にさらされる日常を送っています。仮想現実の世界は今後さらに拡張を広げ、現実を凌駕さえしていきそうで、とても気味が悪い世の中になってきていますが、そんな時代だからこそ、本物の自然、本物の手触りが、遊びの中に必要だと思います。
著者はあとがきで、
「急ぐな!大人になるのを急ぐな!たくさんの生き物と胸ときめく不思議に、河童のように目を見張るのだ。」
という、NPO法人「里の楽校」で行われた夏のキャンプでの言葉を引用し、実体のない空虚なものに駆り立てられるのではなく、本物の自然のなかで、確かな手応えをもって、現実世界と関わる大切さを、自然素材のクラフト遊びをとおして感じる大切さを訴えています。
命ある自然の素材を使って遊ぶことで、確かな手応えのある現実の世界と関わっていくことは、どんな早期教育よりも大事なことだと思います。
自然のクラフト素材は、田舎でなくっても都会でも、街路樹の下や公園で、気を付けて見ていればいろいろ手に入ります。大人より目線が低く、いろんなものに目がいく子どもは、きっとたくさん見つけることができるでしょう。
息子が幼稚園のとき拾ってきたどんぐり。帽子がきれいについたままで持って帰れることが意外と少なかったので、貴重なコレは麻ひもを付けてオーナメントに。10年以上たった今でも大切に持っています。
子どもたちには、本物の自然と触れ合う遊びをとおして、命の手触りを知り、自分もまた自然の一部であることに気づき、生かされていることへの感謝と、生きる喜びそのものを感じながら、大きくなっていってもらいたいなと思います。
そんなきっかけ作りになる本だなと思い、今回ちょっといつもとは違う種類の本ですが、ご紹介してみました。
今回ご紹介した絵本は『自然遊び入門』
山田辰美 2015.3.20 静岡新聞社 でした。
草花、葉っぱ、木の実で作る自然遊び入門 |
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