絵本とむかしばなし

小学校で絵本の読み聞かせや昔話のストーリーテリングをしています。楽しいお話、心温まるお話をいろいろご紹介していこうと思います。

『長ぐつをはいたねこ』

軽妙洒脱な昔話

気のきいた「おねこさん」が主人のために大活躍!

            

読み聞かせ目安 中学年 10分

あらすじ

貧しい粉屋の末っ子が、遺産をもらいましたが、もらえたものは雄猫一匹だけ。

でも、この「おねこさん」はただのネコとは大違いで、人語が操れ、がっかりしている粉屋の息子に、長ぐつと袋を用意してくれるよう頼みます。

長ぐつと袋をもらったネコは、長ぐつを履いて歩く練習をしたあと、袋を担いで出かけました。

ネコは、袋に捕らえたウサギやウズラやサカナを入れて、「カラバ伯爵」からの捧げものとして王様に届けます。王様はしだいにこのネコと「カラバ伯爵」が気に入るようになっていきました。

それからネコは、こっそり「世にもおそろしいかおつきの練習」をし、この「世にもおそろしかおつき」で百姓たちをおどして、牧場や畑を「カラバ伯爵」のものと言わせます。そして、魔法使いの大男の屋敷へ行き、大男をまんまとだましてネズミにし、食べてしまい、大男の屋敷を手にするのです!

そこへちょうど王様とお姫様、「カラバ伯爵」こと粉屋の息子が来て、華やかな宴会となり、そのまま「カラバ伯爵」とお姫様は、めでたく結婚式を挙げました。

 

読んでみて・・・

シャルル・ペローによるフランスのよく知られた昔話を、絵本に仕立てたものです。

よく知られた昔話なので、他にもこのお話を絵本にしたものは数あると思いますが、この絵本のおもしろいところは、「うちあけばなし」が差し込まれるところです。昔話はふつう、脱線などせず、尾ひれ背びれなど付けずにまっすぐに語るのが良いとされ、私もそうだと思いますが、この絵本に限っては例外!「うちあけばなし」が何とも軽妙な洒脱さを与えてくれているのです。

 

最初の「うちあけばなし」は、まずネコが長ぐつを履く練習をするところ。ネコが長ぐつを履いて二本足で歩くなんてそもそも大変なこと。「おねこさん」は一生懸命練習します。その様子のおもしろいこと!!四苦八苦、悪戦苦闘とはまさにこのこととばかりの様子で練習しているさまが、見開き1ページ分使ってユーモラスに描かれています。

 

次の「うちあけばなし」は、「世にもおそろしいかおつきの練習」をするところで、鏡に向かった「おねこさん」の世にもおそろしい百面相が、これもまた見開き1ページ分使って表情豊かに描かれています。

 

最後の「うちあけばなし」は、お話のおわり。ようやく長靴とおさらばできてネコはほっとしたというところで、このお話もおわりです。

 

「うちあけばなし」という形でお話の舞台裏をちょっとのぞかせることで、読者の関心も引き、ネコの性格も表情も豊かに描きあげ、魅力的な絵本に仕立てあげることに成功していると思います。読み聞かせをするときは、「うちあけていいますとね、・・・」というところを、ちょっと声をひそめてこっそりお話しするという感じでいつも読んでいます。子どもたちも「なに?なに?」という感じで、興味を持って聞いてくれているように思います。

 

この絵本の軽妙洒脱さは、絵によっても十二分に表現されています。

色遣いは抑え目で、基本は黒と黄土色。ページによって青や赤が入る程度ですが、色の差し込み具合が絶妙で、シックにも華やかにも、わずかこの4色で描き分けています。曲線的な線画の跳躍感も、お話の軽妙さを存分に表現していると思います。もちろん「おねこさん」の立ち姿も洒落たフォルムです!

 

矢川澄子の翻訳も、歯切れの良いリズム感ある文章になっていて、この絵本の雰囲気にあっていると思います。語彙や表現が子どもにはちょっと古風で、馴染みのないいいまわしもあるので、まずは子どもの自力読みより、大人が読んであげる方がいいかと思います。やや長めのお話ですが、リズムよくテンポよく、でも早口にはなりすぎないように注意して、いつも楽しく読み聞かせしている一冊です。

 

今回ご紹介した絵本は『長ぐつをはいたねこ』

ハンス・フィッシャー文・絵 矢川澄子

1980.5.20 福音館書店  でした。 

長ぐつをはいたねこ

ハンス・フィッシャー/やがわすみこ 株式会社 福音館書店 1980年05月22日頃
売り上げランキング :
by ヨメレバ

ランキングに参加しています。ポチっとしていただけると嬉しいです。 


絵本ランキング

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村

 

このブログに掲載している著作物の書影・書誌データ等は、版元ドットコム・各出版社ホームページ・個別の問い合わせ等を経て、使用の許諾を確認しています。