スモールさんがヨットに乗って。
「スモールさん」シリーズのスモールさんがヨットの船長さんに。
読み聞かせ目安 低学年 5分
あらすじ
スモールさんは船長さん。ちいさなヨットを持っています。
あるお天気のいい日。スモールさんは、お弁当と釣り竿を持って、犬のティンカーと一緒にボートに乗り込みました。
岸から離れたところに繋いであるヨットのところに着くと、ボートを杭に繋ぎ、ヨットに乗り換え、帆を揚げ出航です。
魚のよく釣れる入り江に着くと、錨を降ろし、帆を下げて魚を釣ります。
でも・・・なかなか釣れません。
スモールさんは、居眠りをはじめました。
と、突然、大きな魚が掛かって、スモールさんは大喜び!
でも・・・喜びすぎて足を滑らし、海へ落っこちてしまいました!
そのまま泳いで、ヨットに上がりお弁当。
やがて帰る時間になりました。
帰る途中、お天気が悪くなり、海が荒れてきましたが、無事湾の中に戻り、ボート小屋で雨宿り。
お家に帰って、晩御飯にお魚を食べました。
読んでみて・・・
以前ご紹介した「スモールさん」シリーズの絵本です。
今回のスモールさんは、船長さん。
ちいさいヨットを自在に操り、大海原へと出ていきます。
といっても、ちょっとそこまでお魚釣りに。といった感じで、お仕事というより、今回のスモールさんのお話は、スモールさんの休日みたいな感じになっています。
そのためか、この絵本でのスモールさんは、いつもの完璧なスモールさんとは違って、ちょっと似合わずおっちょこちょい。
魚がなかなか掛からずに待ちくたびれて、ついうとうと居眠りをはじめたり、やっと大きな魚が掛かったかと思うと、喜び過ぎて足を滑らし海へドボンと落っこちたり!
他のシリーズのスモールさんには見られない、ドタバタぶりですww。
いつも完璧なスモールさんが、急に身近に感じられるお話になっています。
それでも、やっぱりスモールさん。
ヨットの操縦は完璧です。
手際よく、岸からボートに乗り込み、ヨットの泊めてあるところまで行き、オールをしまいボートをしっかり杭に繋いだら、ヨットに乗り込み帆を揚げ出航!
風を上手に読んで、ヨットを走らせます。
帰りにお天気が荒れてきても、冷静に潮目を読み、強まる風を利用して、安全に湾の中へ入っていきます。
ここでは決して慌てず騒がず、いつものスモールさんらしいきりりとした表情で、どんな事態にも対応していきます。
犬のティンカーの表情もよく、心配そうな顔から、ほっとした顔、スモールさんを心から信頼しきっている顔まで、ちいさな絵ながらよく表現されています。
「スモールさん」シリーズは、どの絵本もそうですが、それぞれの仕事や作業の内容が、複雑なことでも順を追って、小さい子どもにもわかりやすく、丁寧に見せてくれるのがいいところ。モノクロに1色足しただけのとてもシンプルな絵で、無駄なくすっきりと描き上げています。(ただし、これは旧版のことで、現行の新版はカラフルな多色刷りになっているのが残念です・・・。)
作業するスモールさんの表情も、きりりと引き締まり、自信に満ちていて、見ている子どもに安心感を与えます。
こんなにしっかりとして晴れやかな顔で働く大人をみれば、間違いなく子どもたちの心には、大人や、仕事に対する尊敬や憧れの気持ちが、育まれていくことでしょう。
ヨットを操るという魅力的な作業を、丁寧にわかりやすく好奇心を満たすように見せながら、ちょっとハラハラするスリルとその後の安心感も与え、満足して本を閉じることができる、充足感のある絵本です。
「スモールさん」シリーズの絵本は、ちいさいながらも本当に満足のいく絵本シリーズだなと毎度思います。
今回ご紹介した絵本は『ちいさいヨット』
ロイス・レンスキー文・絵 渡辺茂男訳
1971.7.20 福音館書店 でした。
ちいさいヨット |
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