コラージュの手法で描かれた美しい科学絵本
いろんな動物の目、耳、鼻、口、しっぽ!動物たちの不思議な世界を覗く絵本です。
読み聞かせ目安 低・中学年 5分
あらすじ
動物は、自分たちの目や鼻、耳、口・・・etc、いろんなところをいろんなことに使う。
カモノハシの鼻は泥を探り、ハイエナの鼻は遠くの獲物のニオイを嗅ぎ分け、ゾウの鼻は自分にシャワーをかける。
ジャックウサギの耳は自分の体温を下げ、コウモリは耳で周りを「見る」。
スカンクがしっぽを上げたら、ガス噴射の準備OK!
トカゲはちぎれたしっぽを置いて逃げ、サソリはしっぽの針で攻撃する。
いろんな動物の目、足、口・・・。
どうしてこんな形をしているの?
何をするの?
いろんな動物のいろんな不思議。
こんなしっぽでなにするの? | ||||
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読んでみて・・・
以前ご紹介した『ホネホネ絵本』(スティ―ブン・ジェンキンズ作 千葉茂樹訳 2010.9.30 あすなろ書房)と同じ、スティ―ブン・ジェンキンズによる科学絵本です。
『ホネホネ絵本』と同じく、コラージュの手法で描かれた科学絵本で、こちらもとてもキレイ。『ホネホネ絵本』が「ホネ」の絵だっただけに、色味はどうしても単調でしたが、この『こんなしっぽでなにするの?』は、さまざまな動物が出てくるので、とてもカラフルです。
いろんな動物の目、鼻、口・・・etc。
いったい何のしっぽ?
どんな動物の鼻?口?
どうしてこんな形なの?
いろんな動物を見たときの、子どもの素朴な驚きと疑問が、そのまんま出ているようです。
そしてその疑問を、美しい貼り絵で、とてもはっきりと、わかりやすく教えてくれます。
それぞれの動物の毛並みや皮膚感を、さまざまな色紙を自在に使い分け、美しくも科学絵本らしく、リアルに表現しています。
和紙が多用されていて、アメリカの作家の細やかな表現に、日本の和紙が用いられているのを見ると、何だか嬉しくなってしまいます。
貼り絵なのに、とてもリアルに見えるのは、それぞれの動物の目がとても生き生きとしているからでしょうか。紙で作られた目なのに、とてもキラキラしていて、好奇心旺盛な目、獲物を狙っている鋭い目など、個性がとても豊かに出ています。
この絵本を見ていると、地球上にはいかに様々なたくさんの動物がいて、そしてそれぞれがそれぞれに、様々な違った能力を持っているということに、驚かされっぱなしになります。
自然の不思議に、目を見張るばかりです。
知識の絵本ですが、ただ単に知識の羅列になっておらず、とても新鮮に見えるのは、この絵本が自然への「驚き」を、一貫して表現しているからなのかもれません。
この絵本は、2004年の「コルデコット賞」の次席に選ばれたのだそうです。
科学の絵本が、「コルデコット賞」の候補に挙がるのは、とても珍しいのだそうですが、それだけこの絵本が、単なる知識の本ではなく、絵本としての造形にもふさわしい、美しさと楽しさを、持っているということなのでしょうね。
巻末には、取り上げられた動物たちの、さらに詳しい説明が、1匹づつ記されています。興味を持った子どもが、さらに関心・知識を深めていけるようになっていて、子どもにとって、科学・生物学の入門書ともなる、優れた絵本だなと思いました。
こんな絵本を読んで、子どもたちがさらに、自分たちの周りの不思議に、興味を広げていってくれたら嬉しいなと思いました。
今回ご紹介した絵本は『こんなしっぽでなにするの?』
スティーブ・ジェンキンズ&ロビン・ペイジ共作 佐藤見果夢訳
2007.2.10 評論社 でした。
こんなしっぽでなにするの? | ||||
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