みんな大好きな絵本!
絵本といえばやっぱりこれ!みんなが大好きな一冊です。今年は刊行60周年!
読み聞かせ目安 低学年 5分
あらすじ
のねずみのぐりとぐらが、森へ出かけました。
ぐりとぐらがこの世で一番好きなのは、お料理すること食べること。
どんぐりや栗をかごいっぱいに拾っていると・・・道の真ん中に・・・、
なんとまあ!とても大きなたまごが落ちていました。
ぐりとぐらは、このたまごでカステラを作ることにします。
でも、あまりに大きなたまごです。家までどうやって運びましょう?
考えたあげく、その場でお料理することに。急ぎ、家に帰り、道具を持っていきました。
大きなたまごを石でやっとこさ割り、お砂糖、牛乳、小麦粉を入れてかき混ぜて、石でかまどを作り、薪を集め、大きなフライパンで焼きました。
「ぼくらの なまえは ぐりとぐら このよで いちばん すきなのは おりょうりすること たべること ぐり ぐら ぐり ぐら」
と歌ってカステラが焼けるのを待っていると・・・匂いを嗅ぎつけた森中の動物たちがやってきました。
やがてカステラは、ふんわり黄金色にやけて、
「やあ、おいしそう!」
食べ終えたあと、ぐりとぐらは大きなたまごの殻で作ったものは・・・。
読んでみて…
みんなが大好きな絵本です。いまさら取り上げるまでもないかもしれませんが、やっぱり絵本と言えばこれ!というほど、誰もから愛されている絵本だと思います。
とにかく伸びやかでおおらか。子どもたちが、安心しきって心を解放し、楽しめる絵本です。
子どもたちは、ぐりとぐらと一緒になって、森の中へと入っていきます。
緑の木々、赤いツタ、きのこ、栗、まつぼっくり、お花たち。彩り豊かな森の中を、おいしいもの探して、ワクワクしながら進んでいきます。
そして、あのとっても大きなたまごに出会える喜び。
大きなたまごをどうやって運ぼうか、どうやって割ろうか。子どもたちも、ぐりとぐらと一緒になって、ワクワクしながらお料理します。
そうして出来上がった、大きなフライパンいっぱいのカステラのおいしそうなこと!!
この黄金色でふわふわの大きなカステラに憧れた人は、きっといっぱいいることでしょう。
森のお友達みんなで食べて満足して、楽しい車まで作って家に帰る。満足至極のお話です。
保育園の先生であった中川李枝子氏が、子どもと接する中から生まれてきたお話というだけあって、子どもが喜ぶこと、期待することを十分満たしてくれるお話になっています。
カステラに関しては、中川氏がある本の対談で、
「みどり保育園で、子どもたちにホットケーキを作ってあげたことがあるの。そのみんなのうれしそうな顔、『先生、おいしいねえ』と食べていた顔、キラキラした目、それを見て感動したこと・・・・・・みんな私の心の原点にありますね。」(『やさしい生活やさしい時間』雅姫 2005.2.9 集英社)
と語っていることから、カステラ(ホットケーキ)を目の前にした子どもたちの感動の実感を込めて、描かれているのだろうと思います。
あの『ちびくろサンボ』に出てくるホットケーキよりも、おいしくて上等なものを子どもたちにごちそうしよう、という思いもあったとか。
とてもシンプルなお話の運びで、おしまいまで一直線に進んで行くタイプの絵本ですが、たまごの運び方の試案や、道具の準備、料理の過程などは、けっこう細かく書かれていて、子どもたちに、夢を具体的に見せてくれる、順を追って夢を紡がせてくれる工夫もされています。子どもの心の動きを良く知った描き方なのだろうなと思います。
この絵本は、とても有名で、誰もが一度や二度、いやそれ以上読んでいるので、もうわざわざ読み聞かせの場で読まなくても・・・という考えもあるかもしれません。でも、子どもたちは、知っているお話に出会いたがっているところがあり、知っている本を持って行っても、
「それ知ってるー!!」
といいながら、ワクワク楽しんでくれることがよくあります。
こうなって、こうなって、こうなるんだよ。と、わかり切っているお話でも、わかっていることを自己確認して、納得する。自己を充足させ、安心する。
大人はとかく、子どもたちにどんどん新しい知識、新しい刺激を与える必要があると考えがちです。もちろんそれも必要です。でも、子どもの日常にとっては、見るもの聞くもの、周りのいろいろなことが初めての連続だったりします。
新しい知識を入れることも大切ですが、子どもにとっては、知っていることを確認する喜びが、自己肯定感につながり、心の安定をもたらし、その上で、さらなる知識欲の発展も期待できるのではないかなと感じます。
よく知っている本でも、教室でみんなで読むと、また違った味わいもあります。
「知ってるー!!」
と言われても、ニコニコしながら読み続けていきたいと思います。
この絵本をはじめ、有名な絵本は大型絵本になってもいて、学校や図書館にはよく置いてあります。よく知っている絵本でも、いつもとサイズが違うと目先が変わって、学校での読み聞かせでは、ちょっとまた面白いかもしれません。
また、この絵本『ぐりとぐら』は、今年刊行60周年を迎えます。
福音館書店では、60周年を記念して特設サイトもオープンしています。
グッズのプレセント企画や、なんとあのカステラのレシピも‼
ぜひ一度、覗いてみてください。
今回ご紹介した絵本は『ぐりとぐら』
中川李枝子 と 大村百合子
1963.12.1 福音館書店 でした。
ぐりとぐら | ||||
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